横浜市立永野小学校 マーチングバンド

Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載

横浜市営地下鉄の上永谷駅を降りて環状2号線を隔てた小高い丘の上に永野小学校はある。昨年度はマーチングバンド関東大会で金賞、悲願の全国大会初出場を果たし、技術的にも精神的にも驚異的な進歩を遂げた永野小学校の強さの秘密と練習方法についてお伺いした。

創部は昭和59年、トランペット8本を購入したことがきっかけで始まった。演奏の初披露は横浜市音楽会で、「聖者の行進」を演奏したそうだが、その年の翌年から部員が急増し、一時は希望者が150人を超えオーディションまでおこなう事態になった。その時のオーディションはなんと「校歌とMM」で、このオーディションで80人にまで絞られたというから驚きだ。現在はマーチングバンド協会の大会をメインに横浜市マーチング発表会、また地域のイベントにも参加している。
練習にお邪魔すると、まず管楽器がウォーミングアップをしていた。管楽器の大きな音を出す為に常に呼吸法を徹底的にやるスタイル。これは昨年まではなかったという。これによりハイブラス(トランペット、メロフォン)の音量が驚異的にアップしたという。またロングトーンやタンギングなどの練習もこなしていた。重要なことは「大会の会場を鳴らす」ことで、屋外で練習するときも常に本番の会場を意識した音作りをしているそうだ。
ウォーミングアップ終了後はMM(マーチング&マニューバリング)の練習をしていた。ボックスエクササイズ、スタートストップ等の基本動作を徹底的にやるスタイル。多いときにはMMだけで1時間もやるそうで、筋肉痛になるメンバーも少なくないとか。この基礎練習を増やしたことがドリルにつながったそうだ。

休憩をはさんでドリル練習に入った。昨年度はアメリカの作曲家アーロン・コープランドの作品を取り上げ、斬新的なショーを構成。練習方法は長いスパンで曲を区切って練習し、動きを確認しながら演奏するというスタイル。ラインの乱れを直す練習がこの日の中心であった。部員全員が前で指揮を振る沼田留美子先生に集中していた。ショーの最後まで動きを確認した後にランスルーをして終了となった。

部長の岩田真希さん(トランペット)に一年間を振り返ってもらった。
岩田「楽しいことは基本的に昼休みと休憩です(笑)というのはウソで、部員みんなで演奏演技ができることです。逆に辛かったこともありました。夏休みの練習は冬休みよりも辛かったです。永野小学校マーチングバンドのいいところは一言で言うとチームワーク!具体的には一人一人が注意しあって演奏演技を作りあげること、これが一番いいところですね。部長として特に意識していることはありません。部員の一人として・・・と思っていることくらいでしょうか。最後に後輩に言いたいのはとにかく金賞、金賞、金賞ですね!あとは今年よりももっともっと声を出していって欲しいと思います。溢れでてくるように!!」
その他の6年生も個性的なメンバーが多いのも永野小マーチングバンドの特色で、マーチングをやっていてどうか、という問いには「他の学年と関わりができることがいいと思う」「友達ができること・・・増えました」「自分の責任を感じますね」「風邪をひかなくなった!!」など個性的な意見が多くかえってきた。

「みんなでやるからマーチング」

永野小マーチングバンドのモットーである。これはインストラクターの町田洋氏が永野小に初めて訪れた時に顧問の沼田先生に言っていた一言を部内のモットーにしているとのことで、部員全員がこれを感じながら練習に励んでいる。マーチングを通じて豊かな人間性を育んでもらいたい、という願いもこめられているようだ。
悲願の全国大会初出場となった昨年だが、勝負は今年!と後輩たちもやる気だ。後輩たちは「6年生がやさしくしてくれたから自分もそういう人になりたい」「6年生がいなくなりますが、新6年生で頑張って必ず全国大会に出場します!!」
と力強いコメントがかえってきた。今年も永野小学校は面白くなりそうだ。

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