YOKOHAMA ROBINS

Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載

YOKOHAMA ROBINSは1990年に創立され今年で17年目になる。
1月に行われた全国大会で初の2位という好成績を受賞した秘訣や練習方法、また一般バンド特有の悩みなどについて取材した。

YOKOHAMA ROBINSはもともと横浜市立小坪小学校の卒業生の集まりであった。「小学校を卒業してもマーチングを続けたい」という子どもたちが当時同小学校の教諭であった米谷学氏(現在下野庭小学校教諭)と共に立ち上げた。今でこそ全国大会常連団体となり、輝かしい経歴を持っているが、結成当時23名の隊員は月1回演奏するだけで満足していた。現在は鮮やかなブルーに七色に光るスパンコールが印象的な、クラシックを題材に取り組むROBINSならではのユニフォームだが、この当時はグリーンのトレーナーにGパンで地域のイベントに参加していたという。1997年より県大会に出場するようになるが3年間は低迷期が続いた。ミュージカル曲を中心に選曲してきたが2000年「シェエラザード」に取り組み、クラシックに転向した。この狙いが的中し県大会では常連団体を破って見事、市長賞を獲得。その翌年には初めて全国大会出場を勝ち取り武道館のフロアに足を踏み入れた。そこからはみなさんご存知のように6年連続出場、今年に至っては激戦の一般の部で第2位という成績を残した。

ROBINSといえばドリルもさることながら、今年の全国大会で「音楽効果」部門で1位を手に入れたように『美しいサウンド』バンドといえよう。あまり知られていないようだがマーチングバンド協会の全国大会に出場する以前は吹奏楽連盟の全国大会に推薦され「グッドサウンド賞」を受賞している。動きよりも音を重視する吹連で上位入賞できたこともうなずける。この「ROIBINSサウンド」はどのように作られているのだろうか。

練習場所は横浜市内の某体育館。9時に専用トラックが到着後、楽器を下ろす組とライン(ポイント)を貼る組に別れる。その後テキパキと作業を行い集合がかかる。カラーガードを中心に30分間の念入りなストレッチ、更に30分間のMM、その後はハーモニーディレクターを使っての音基礎を30分間と1時間半~2時間は基礎にあてている。この時間は年間を通して練習メニューに組み込んでいる。その理由を隊長の佐藤絵里子さんに伺ったところ「一般バンドといっても中学生から社会人で構成されているので、動き・音の統一を図るためには絶対に欠かせない時間です。大会直前でも基礎はしっかりやります」とのこと。この日の練習はコンサート直前ということで2005年ショーの他「アパラチアの春」「ミスサイゴン」などの大曲に加え、ブラス以外のセクションのピットアンサンブルによる「カルメン」、カラーガードによる「情熱大陸」、バッテリーアンサンブルによる「STOMP」など日頃見られないROBINSに触れることができた。

次はこのROBINS代表の米谷氏に一般バンドの悩みについて聞いてみた。

「現在本バンドが抱える悩みは練習場所の確保です。学校のグラウンドなど外での音だしはまず許可がおりません。音だし可能で35m四方の体育館は横浜近辺に多くはありませんので最近では遠方まで行かざるを得ない状況です。バンド運営についてはほとんど自前です。練習場所の確保を始め、楽器車(トラック)の保管、運搬、隊費の集金、運用等々メンバーやスタッフで頑張っています。最近購入したトラックの運転ができるスタッフが少ないことも頭を悩ませている一つです。このように数々の困難はありますが、メンバーのやる気はいつも熱いものを感じます。このYOKOHAMA ROBINSはマーチングをとても愛しているメンバーばかりの集まりなのです。」

どこかでROBINSの演技・演奏を聴いたことのある人はメンバーの平日の制服姿を想像できるだろうか。あの激戦区の一般の部で中・高生がいることを感じさせないのは至難の業だ。また全国で歓声が起こった鮮やかなスクリーンに対し今年は何を出してくるのか。これからもYOKOHAMA ROBINSは目が離せないバンドである。

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