Fusion Winter Guard
Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載
カラーガードプレイヤーにとって憧れの大会、「Winter Guard International(通称:WGI)」が2006年春、アメリカ・デイトンで行われる。2004年に続き今回2回目の出場を果たすFusion。前回はゼミファイナルまでに留まったが、今年こそはファイナル進出を目指す!!そんな遠征直前の活気みなぎった練習を取材してきた。
Fusionは2001年に設立されたばかりの本格的カラーガードチーム。設立のきっかけはアメリカの影響が強いという。「アメリカと日本の実力の差をみたときに、やはり環境の問題が挙げられます。アメリカでは夏はDCI、冬はWGIと、年間を通してしっかりとした活動ができるシステムが確立されており、おのずと技術アップに繋がっているのです。そのようなシステムを日本でも!という思いを抱き、設立に至りました。」と代表の田中登志子さんは言う。
田中さんがWGIを意識したのは、1992年に岡山でサンノゼレーダーズ(WGI5年連続優勝)を見たときからだという。「感動にレベルの違いを突きつけられたショック感が入り混じり、思わず目をつぶってしまいました。どうしたらあそこまでの技術に到達ができるのか不思議でしたが、同時に憧れとなりました。」
カラーガードチームの魅力は、「主役になれること」。マーチングと違い音楽は効果音で、カラーガード自体の評価をしてもらえることが魅力という。
WGIはいくつかの部門に分かれているが、海外からの出場団体は一番レベルの高いワールドクラス(DCIでいうところのdivision1のイメージ)にしかエントリーができない。エントリーは各部門で先着順の30団体。そこからファイナルに残れるのはわずか15団体のみである。『日本の団体がファイナルに食い込むようになれば、面白くなる。』とスタッフの中村氏は言う。
Fusionの2006年WGI参加メンバーは16名。19歳から34歳までの年齢層で、西原高・小禄高・嘉悦女子高・星野女子高・浜松ワイルドウィンズ・Genesisなどさまざまな団体の出身が集まって活動している。Fusionに入って初めてカラーガードを経験したというメンバーもいるから驚きだ。
Fusionは他団体との掛け持ちも可能なので、お稽古事のような感覚で技術アップも可能だという。団体に所属していても予算的な問題でなかなかインストラクターを呼べないという日本のマーチング事情も考慮していて、画期的なシステムである。
この日の練習は、もちろんWGIに向けての調整。前述したとおり、カラーガード自体の技術・表現力のみ評価対象となるため、何度も何度も同じところを繰り返し、本当に細かい箇所をチェックをしていた。和やかな練習のなかでも、メンバー同士厳しいチェックが行われており、そこでメンバー達の妥協を許さない気持ちと、WGIへ向けての強い気持ちを感じた。
今回のショータイトルは『grudge malice spite… and Japanese thoughts』。海外より招聘したインストラクターより「日本人の持っている独自のカルチャーを全面に出すべき」というアドバイスのもとに、般若のお面を使用することで、人間の心の内面を表現するという。
練習の最後にはランスルーを見せていただけた。ショーの中で所々にあるオールフラッグ(全員で一斉にフラッグをふる箇所)は本当に迫力満点であった。ショー全体を通してスピード感のある動きのなかにも「和」らしい繊細な表現がうまく取り込まれており、さらに般若のお面を巧みに使った演出もとても印象的で、構成力・技術力ともにレベルの高さを感じた。新しいチームシステムを確立しているカラーガードチーム『Fusion』の今後の活躍に期待したい。
荒 敏美 ―誰のためでもなく自分のために続けてきたカラーガード。その集大成を最高のカタチで発揮したいと思う。長時間の練習は体力的に辛いけど力の続く限り頑張ります。
岩橋 聡美―みんな一つになって、初めてのWGI、最高の演技にしたいです。
中安 敦子―2回の本番が踏めるように...ファイナル絶対残ります!!
知念 秀行―めったに出れる大会ではないので、日本人魂見せつけます!!
大森 千穂―2003年には行けなかったので今回がリベンジ!!WGIという夢の舞台で演技出来る事を誇りに思います。見ている人に感動を与えられるようにみんなと楽しく演技したいです!!
奥間 有美―毎週の練習が楽しくて、あっという間に本番間近!!仲の良いメンバー全員で大きな舞台を思いっきり楽しんで、良い演技をしたいです!
織部 宏子―WGIという素晴らしいステージで踊るせっかくのチャンス!最高に楽しめればと思います。
金城 理恵―2回目のWGI。あの舞台は自分が輝ける場所!前回は1回しか立てなかったので、悔いの残らないようすてきな表現を心掛けます!!
黒田 千尋―このSHOWに関わって下さった全ての皆様に感謝の気持ちを込めて演技をしたいと思います。そして一人でも多くのお客様に感動と笑顔をお届けできるように、私自身がWGIと言う最高の舞台を楽しみたいと思います。
牧野 友美―初めてウェポンでのステージ!本番ではみんなで気持ちよく演技したい!
安川 由美子―前回参加できなかった悔しさをバネに会場では最高のプレーができるよう頑張ります!
松浦 恵美―大きな舞台で出来るのは、本当に幸せな事だと思っています。沢山の方々に楽しんでいただけるように、また自分自身が楽しんで出来るように限られた時間の中、精一杯努力したいと思います。
馬場 麻由美―初めての場所で何も分からないままに行くけど、思いっきり楽しみます!!
吉武 真理江―初めての大会なので悔いが残らないように時間を無駄にせず努力します。
たなかとしこ―メンバーの一員としてまたフロアにたてることの喜びをかみしめつつスタッフとして、メンバーに対して厳しくそして温かい指導を心がけていきたい。
そしてこの経験を日本のカラーガードを続けている人々に還元していきます。