横浜市立下野庭小学校 マーチングバンド

Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載

横浜市立下野庭小学校は今から30年前の昭和51年に創立され、マーチングバンドは平成2年に結成された。その後最近では全国大会金賞常連校となり、不動の地位を確立している。今回は下野庭小学校の強さの秘密を探るべく、練習にお邪魔した。

下野庭小学校マーチングバンドは平成5年にマーチングバンドフェスティバル(神奈川県大会)に初出場し、平成11年には関東大会初出場を果たした。翌年には関東大会で金賞を受賞し、関東代表としてマーチングバンド全国大会に出場。初出場ながら金賞を獲得した。翌年より横浜国祭仮装行列(みなとまつり)に参加し、平成13年には「ハマッパレ大賞」を受賞。平成16年には日本テレビ「一億人の大質問 所さんの笑ってこらえて」に出演し、全国に「下野庭小学校」の名前が知れわたった。この他最近では小学校管楽器研究会の東日本大会、横須賀開国祭パレード(第1位受賞)などの地域のイベントや地域の運動会など多数に出演している。

この常勝下野庭小学校を指導、また指揮者を務めるのは米谷学先生である。米谷先生は以前に横浜市立日枝小学校、横浜市立小坪小学校のマーチングバンドを全国レベルに育てあげた実績を持ち、また1990年より横浜市立小坪小学校の卒業生が集まって結成された一般バンド「ヨコハマロビンズ」の代表者もつとめている。そのため下野庭小学校を卒業してヨコハマロビンズへ入団するメンバーが多い。

この日の練習はまずは合奏で音をしっかりと確認する練習から始まった。演奏の縦をあわせる練習、フレーズのアーティキュレーションを合わせる練習など細かいところにまで徹底的な指導がいきわたっていた。曲をところどころ区切って確認し、最後は通し練習というスタイルだったが、通し練習のころには曲全体がほぼ出来上がっていたので驚きだ。

その後は体育館に移動し、本番同様の練習が始まった。この日の練習はドリルはせず、ステージでのパフォーマンス用の練習であった。ステージ用で狭いところだというのであまり動かないかと思っていたが、ブラスセクションの細かいアクションや振り付けがところどころに見受けられ、見ていてまったく飽きず、それどころか純粋に楽しめる内容だった。ブラスセクションとパーカッションセクションのアンサンブル力の高さはもちろんだが、個人個人がしっかりとした演奏技術を持ち合わせていることは言うまでもない。

この下野庭小学校の強さの秘密について米谷先生に聞いてみた。
「練習時間が本当に短いです。基本的には朝練と土曜日しかやっていません。日曜は完全に休みというスタンスです。大会前は日曜日も練習することがありますが、基本的にはこのスタンスで練習しています。」
下野庭小学校ほどのバンドであるなら毎日練習し、土日も休みなく練習しているというイメージがあるかと思われるが、まったく逆であったので驚いた。大会に出ている他の小学校のマーチングバンドとほとんど変わらない練習時間である。練習の効率が課題になっていると思われるが、その点について聞いてみた。
「練習時間が短いので、効率のよい練習メニューを考えるのが大変です。音に関しても周りに団地がありますので近隣の迷惑にならないように気を使いながらの練習なので大変です。最近ではあまり言われなくなりましたが・・」
また先述したように、下野庭小学校マーチングバンドは個人個人の演奏技術がとても高い。この点はどのような指導をしているのかを聞いてみた。
「上級生が下級生を徹底的に教えていく、というスタイルをとっています。以前勤務していた小坪小学校では、この子にはこの先輩というように一人に対して一人の先輩をつけて指導させていました。そしてその後輩ができていないときは先輩がすべて怒られるわけです。ですから細かいところまでをしっかり教えていくことで技術も向上していっていると思っています。」
最後に下野庭小学校マーチングバンドのモットーを聞いてみた。
「美しい音で楽しくマーチングを!!」

昨年度もマーチングバンド全国大会で金賞を受賞、不動の地位にある下野庭小学校マーチングバンド。メンバーが全員いきいきとしていて、バンドのモットー通り心からマーチングを楽しんでいる感じがした。

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