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マーチングトラブルシューティング

Drum Corps Fun vol.2(2007年4月11日発行)に掲載

マーチングをやっているといろいろなトラブルも多いと思いますが、
皆さんはそんな時どうしていますか?今回よくあるトラブルをいくつかあげて、
その原因と対処方法についてお話しようと思います。

マーチングには

  • 演奏中に足がつってしまう。
  • ストレッチのやり方が悪く、逆に痛くなってしまった。
  • 唇のコンディションが悪く、思ったように演奏できない。
  • 極度の緊張で練習してきたことが本番でできない。

このような問題が多いです。では実際にこのような問題はどうしたら起こらなくなるのか、
防止策等を考えてみたいと思います。

1 足のつりを防止するために

本番前に足がつらないように壁にかかとをつけて伸ばす・・という光景がよく見受けられますが、そうやっていても本番中に足がつってしまうものです。ではどうしたらいいでしょうか?まず、ドリルの前には十分なストレッチや準備運動をするのはもちろんですが、水分を十分に取ることも重要なことです。あとは食生活の改善も大事なことなのです。本番前に十分な水分が摂れない場合は、本番前日からこまめに水分を摂っておくと足がつりにくくなりますので実践してみるといいでしょう。

足がよくつる人は「ストレスが多い」方、または成人の方ですと「お酒をよく飲んでいる」方が多く、これらに共通していることは「マグネシウム不足」が原因であると言われています。マグネシウムは筋肉や神経の興奮にかかわる重要な栄養素であり、これが不足してしまうとさまざまな疾患を引き起こすことになります。マグネシウムは善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす作用があり、心臓や血管などの正常な機能を維持する働きをしています。また神経の働きにも大切な役割をはたし、ほかにも神経や筋肉の興奮に関わる大事なミネラルになっています。日々の食事において、マグネシウムを多く含んでいる緑黄色野菜や大豆、アーモンドなどを多く摂るといいでしょう。ただ精製された食品や加工食品にはあまり含まれていませんので注意が必要でしょう。

ストレッチについて~正しい知識を持ってマイペースに~

ストレッチには障害の予防や血流、リンパの流れを良くする働き、また疲労の回復を早め、治癒能力を向上させる働きがあります。肉体的、精神的な緊張を解消することはもちろん、脳への血流が促進されることでリラックスすることができます。また老化の防止にも効果があり、はりのある筋肉を保つ効果もあります。

マーチングにおいてよく使われる筋肉は前腕部・上腕部・肩周辺部・腰背部・腹部・大腿部・下退部で、これはパート、セクションによっても異なります。ブラス楽器の方ですと特に重い楽器(ユーフォニアム、チューバ)の方は腰痛、バッテリー楽器でもテナードラムやベースドラムを持っている方だと同じく腰痛や膝関節を悪くしてしまうというケースも多いです。カラーガードの場合は腱鞘炎やアキレス腱の損傷など、ブラスやパーカッションよりも酷い症状が出てきてしまう場合があるのでストレッチは入念におこなうのがいいでしょう。

ストレッチにおいては正しい知識を持っておこなうことが必要です。間違った知識でおこなってしまうと逆にケガの原因となってしまう恐れがあります。まず体が冷えているときには温めてからおこなってください、軽いジョギングがベストでしょう。またよく反動をつけてストレッチをする人がいますが、これもNGです。筋肉をのばして程よい緊張を感じたらそこで状態を保持すると効果的です。また痛いのは我慢せず、心地よく我慢できる程度の軽めが良いでしょう。オーバーストレッチはケガの原因となるので避けたほうがいいでしょう。また二人組みでストレッチを行う場合はマイペースで、他人と比較しないこと、また相手に無理な負荷をかけないように注意しましょう。

2 唇のコンディションについて

本番当日は最高の唇コンディションで演奏できるに越したことはありません。しかし、マーチングの大会が秋季~冬季にかけておこなわれる日本においては、唇を常にいいコンディションに保つことは難しいと言わざるを得ません。特に金管楽器は唇が固まってしまってはいい音が出ないので、大会前は特に注意が必要でしょう。

口内炎~管楽器奏者の天敵 サプリで撃退!~

皆さんもよくお世話になっていると思いますが、口内炎は楽器を吹く人にとっては天敵です。特にマウスピースがあたる部分等に出来てしまうと非常に痛く、また唇が振動しないためにいい演奏は出来ないといっても過言ではありません。口内炎が起こりやすい原因は、歯や歯ブラシの刺激、金属アレルギー、細菌感染、口腔内のケガなどですが、成人の人であればこれに加えて体力や免疫低下が主な原因です。(体力や免疫力の低下はストレスも原因です)。これも口角炎と似ていて精神的なものが原因となることも多いので注意が必要でしょう。口内炎を予防するためにはまず「口の中を清潔に保つ」ことが重要です。基本的なことですが普段からのうがいや歯磨きは日ごろからおこなうことが防止につながります。また成人の方ですと「タバコを吸いすぎない」ことです。ニコチンは咥内のビタミンなどの栄養素を奪ってしまうので口内炎が出来やすくなります。禁煙して口内炎が出来にくくなったというケースも多く報告されています。また「アルコールは控えめに」することも大切で、飲酒をした次の日にビタミン系のサプリメントを摂る事も口内炎防止に役立ちます。

ヘルペス~実はウイルスだった~

ヘルペスが出来た、という話を聞いたことがある方も多いと思いますが、ヘルペスとは皮膚に水疱ができることで、はじめ口の周りなどがむずむずと痒くなってきたり痛くなってきたりしたのち赤くなり、数時間のうちにそのあたりに小さな水ぶくれが出てきて水疱となる病気です。その後だいたい1週間~2週間くらいのあいだにかさぶたになり、かさぶたが取れて治ります。かさぶたを無理に取ろうとすると痕が残ったりえぐれたようになることがあるので注意が必要です。そもそもヘルペスとは「ヘルペスウィルス」といわれるもので、1ミリの1万分の1くらいの大きさで遺伝子のみでできています。子孫を作る能力がなく、生き物の細胞の中に入り込んで自分のコピーを作り出します。これが感染です。初めてヘルペスウィルスに感染しても明らかな症状が出る事はあまりありません。体の免疫力が低下したときなど急に出てくることが多いです。 ヘルペス防止にはバランスのよい食事をとり、十分に休息することが大切です。日頃から体だけでなく精神的にも健康な生活を心がけることが大切です。

口角炎~本番前の夜更かしはNG~

口角炎・・・一番多いのは唇の横が切れてしまうケースです。これは口角炎といわれるもので、口角部の皮膚が唾液によって浸軟され、ここに2次的に感染が起こることで発症するといわれています。原因としてはさまざまなことが考えられますが、ビタミン不足(食生活が乱れている)、精神的なストレス、過労(練習後の夜更かしなど)といわれています。十分な睡眠をとること、また栄養補給で早く治るといわれているので、本番前にこうなってしまったら規則正しい生活ができているかチェックするのがいいでしょう。

その他のケア・・・
あとは本番数日前になったらリップクリームを欠かさず塗っていくこと、また本番当日の朝は熱いコーヒーを飲むといいでしょう。これは朝目が覚めることと、唇が柔らかくなるというダブルの効果がありますので、是非試してみてください!

3 緊張をほぐすために

せっかく練習ではちゃんとした演奏ができたのに、本番の会場に入ったとたんに緊張して「本番のことぜんぜん覚えてません」なんてことをよく耳にしますが、皆さん本番前は緊張しますか?いい意味で緊張感をもって演奏できるのはいいことですが、ガチガチに緊張してしまったのではいい演奏はできませんよね。

深呼吸~当たり前のことが重要~

本番前の待機中に深呼吸を忘れないでしてみてください。当たり前のことかもしれませんがこれって意外と落ち着けます。目を閉じて鼻から息を吸い込んでゆっくりと口からはく。ブラスの方は呼吸法でいわれたことがある人もいると思いますが、これは演奏にも大きな影響を及ぼすほど大事なことなのです。

緊張に効くツボ~本番直前まで効果てきめん~

緊張に効くツボ・・・大会会場に入ってもう次に自分達の出番!というときにも効果的なのがツボの刺激です。これから紹介するのは「緊張をやわらげるツボ」です。しかも手軽にできるので是非試してみてください。
1.合谷 合谷は親指と人さし指のちょうど分かれ目のくぼみにあるツボで。万能ツボとして有名で、さまざまな心身症状にも効果を発揮してくれます。
2.神門 神門は手首の小指寄りの端にあるツボ。心臓と関係が深く、動悸、息切れをはじめ、イライラ、のぼせなどの緊張症状を緩和してくれます。
3.内関 内関は手のひら側の腕の真ん中、手首の曲がり目から指2本分ひじ寄りにあるツボで、イライラや気分を鎮めてくれます。

プラス思考に~自分を信じてがんばって!~

よく大会などで「…金賞取れるかな」「他のところにはかなわないんじゃないか」などのマイナス思考の方がいます。これでは本番中にあがってしまいます。スポーツの世界でも自己暗示で記録が伸びたというケースが多数報告されているように、否定的なイメージをプラスイメージに切り替えていく習慣を身に付けていくことが重要です。よく本番前に目を閉じてイメージトレーニングをしますが、その時に失敗したことなど考える人は誰もいないでしょう。とにかく、今まで練習してきたことを信じてプラス思考でがんばってみてください。

その他・・・
やはり緊張しないためには練習で自信がつくまでやることでしょう。緊張していても足が勝手に動いてくれる、くらいまでになればベストですね。自信がないと不安な気持ちになってしまって結果的に緊張状態になってしまうので、辛いかもしれないですが練習に練習を重ねる、この気持ちで頑張って下さい!!

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