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【one point lesson】ショープログラムの組み立て方

Drum Corps Fun vol.5(2010年4月30日発行)に掲載

インストラクター

阿佐美 圭祐

マーチングバンド指導者、作編曲家。
UTSUNOMIYA Sound Company 代表。
とみやマーチングエコーズ、沖縄県立西原高等学校、岐阜県立岐阜商業高等学校、精華女子高等学校、高知中・高等学校、茨城県立大洗高等学校、綾瀬市立陵北中学校、大仙市立大曲中学校 等のアレンジ・指導を担当。
日本マーチングバンド・バトントワーリング協会公認指導員。

みなさん、こんにちは。

2009年度も熱いマーチングシーンがたくさんありましたね。沢山のショーを拝見し、まだまだマーチングには「可能性」が秘められている…と実感した一年でした。みなさんは2009年を振り返ってどうでしたか?

さて、気が付けば2010年度の幕開けです。今年はどんな年になる事やら…。新メンバーをたくさん勧誘して、去年以上に楽しい年にしましょう!!!!

でも…。この時期の悩みの種といえば…。そうです!!どんな
「ショー」をやるのか…。どんな曲を「選曲」するか…。どの団体もご苦労が多い事と思います。

そんな私も類に洩れず、毎年「痩せる?」思いでこの時期を過ごしております。「ショーテーマ」や「選曲」は勿論のこと、どのように曲を「組み合わせる」か…。この取り組み次第で、メンバーが充実したマーチング活動に結び付くかどうか…の大きな影響を与えるものですからね。オリジナルアレンジでも、曲の「組み合わせ」でショーが全く違うものになるくらいです。

そんな中で、最近私が実践し、効率よく、また、効果的に選曲・組み合わせが出来るやり方をご紹介します。「こんなやり方、既にやっているよ!」という方…スイマセン。

やり方はとても簡単!!「表」を作って、そこから自分の「やりたい」「組み合わせたい」曲を客観分析する…というものです。次ページの表を見てください。これは2008年度 UTSUNOMIYA Sound Company のショー「West Side Story」をアレンジする際に、実際に作成した「曲目リスト」です。先ずは必要事項(曲目)を明記します。この際、それ以上の情報(○○の曲はピアノ譜がある)がある場合は曲番に色を付けたりします。次に、大まかにショー構成(この場合は3曲構成でドラムショーを入れるなどの情報)を決め、横軸にオープニング(OP)やファーストプッシュ(1st Push)といった曲の流れにしたがってチェックできる枠を作成します。

さぁ、ここからは実際に曲の聞き込みです。「曲目リスト」作成には、最低3回の手順が必要です。

まずは1回目。先入観をあまり持たず、ラフに音楽を聴きます。そこで「思った事」「感じた事」を「コメント欄」に書き込みます。次に、「良い曲!!!」「使いたい!!!」と思ったらチェック欄に評価(◎→○→△)を付けます。同じ曲でも、曲中で使用したいフレーズが違うことも多々あるので、とにかくチェックしたい分だけチェックします。作業が終了すると…「真っ白」だったシートが既に「分析表」のようになります。この時点で「どの曲がどのシーンに相応しい」のか、ある程度分別されています。

次に2回目。1回目と同様全曲聴きますが、今回は1回目の分析を「客観評価」するつもりで。1回目に聞いたときと少し感じ方が変わった…とか、1回目は「このシーンに良い!」と思ったのに2回目はさほど感じなかった…とか、2回聴くことにより1回目の感じ方の「誤差」を修正します。そうすることで、「自分のやりたい事」と「観客が受け入れる」という対極の要求を可能にする選曲に一歩近づく事が出来ます。この時点で「◎」や「○」が付いた曲は有望…という事になります。チェックした曲の中で「この曲!」と思えるものに色を付けます(この時点では)。勿論、チェックはしたけれど色を付けない(=使わない)場合もあります。

さぁ、3回目です。最後ですから「絞る」作業になる訳です。複数の「候補」からどの曲を選曲するか、どのような組み合わせにするか。今回は色を付けた曲だけ(あるいは使おうと考えているフレーズだけ)聞くようにします。すると、漠然としていた「ショー構成」が少しつながりを見せ始め、ショーの「フォーカス」や「緩急」がイメージとして湧いてきます。ここまでくれば、後は自分の「感性」で曲のセレクトです。セレクトした曲を上塗り(ここでは )します。稀に、この段階で一発逆転(例えばM1で使用と思っていた曲が落選してしまったので、M3で使用する事に急展開…)なんて事もあります。

気が付けば…。「自分が何をどうしたいのか」この紙1枚で全てを把握できる「魔法のシート」の完成です。
まぁ、実際にやってみると数々の「挫折」もあるかと思いますが(笑)、大事なことは「漠然と頭の中だけで考える」のではなく「活字」にする事です。この方法は市販の曲を選曲したり構成したりするときも同様に効果的です。是非一度「騙された」と思ってトライしてみてくださいね。

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