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  • マーチング・ドラムコーの世界で活躍するトップランナーを紹介

スティーブ・ウリィスニー/steve ulicny

Drum Corps Fun vol.2(2007年4月11日発行)に掲載

DCI,WGIジャッジ 音楽教育者 Pro-Markエンドーザー EVANSドラムヘッドアーティスト

スティーブ・ウリィスニー

バンドの特徴を心得え、良い音楽へ対する情熱を持つこと!!

私にとって、埼玉スーパーアリーナで行われたマーチング全国大会は真に意義のある大会でした。すべての学校と生徒達が披露した演技の完成度の高さ、音楽性に感動しました。

日本の中高生は世界で指折りに入るだろう。自分達のバンドの特徴を心得え、また良い音楽へ対する情熱を感じました。また、この二つの事を磨いていくことが素晴らしいバンドをつくり、素晴らしい音楽を体験するのであると考えます。

武道館で行われた小学生・一般の部では、それぞれのグループが独特の感触を持ち真剣に取り組んだ成果が素晴らしく思いました。そのことが観客を魅了し、そして私も感動を覚えた一人です。アンサンブルにしてもソロにしても音楽性の高さを実感でき嬉しく思いました。また、DCIで活躍する日本人がいますが、今回の大会に出場された多くの方がアメリカでも充分頭角を現すに違いない。日本に住んだおかげで、たくさんの大会を始めから終わりまで見ることができました。このことは、私にとって大変な収穫でした。短いリハーサルでここまで伸びるんだと驚きました。私はマーチング・イン・岡山で審査員をし、今回は武道館で観客席から見ました。本当に驚くべき進歩です。本当にびっくりしました。これなんです!音楽は!少しでも良くなろう。そして、良くする為に努力する。人間性も必ず進歩しているに違いありません。

Garfield Cadetsとの出会い…夢 DCIチャンピオン

13歳からドラムを始めました。私が所属していたマーチングバンドは小規模だったので、高校2年の私でも採用してくれたと思います。それから、私はマーチングにのめりこむ人生が始まりました。親にも「これから、マーチングで頑張るんだ」といった事を覚えています。それからはノンストップで走り続けました。

オーディションに合格し、オハイオ州のワレン・ジュニアミリタリーバンドの一員になった私は、夏になると各地へ演奏旅行しマーチングの腕を磨いていました。そしてある日、Garfield Cadetsの練習を目にしました。その時、私が目指すものはこれだと決心しました。1988年にはBluecoatsのオーディションを受け、ベースドラムを担当しました。この2年間はとても勉強になりました。

1991年にStar of Indianaに移籍し、ちょうどこの頃Michael Britt(マイケルブリット)と一緒に専門学校でパーカッションの勉強をしておりPitをしたいと思いました。Star of IndianaがDCIチャンピオンになったのは91年、私にとって忘れられない年になりました。1986年にGarfield Cadetsに出会いDCIチャンピオンが私の夢でこんなにも早く夢が叶うなんて・・・。本当に嬉しかったです。1992年には音楽の資格を取得する為に学校へ戻りました。1993年Star of Indianaに復帰、ピットに入りました。ベストパーカッション部門賞を獲得し驚くことにこの年も私は幸運を手にしました。今でもDCIに関わる人がよくいいます「1993年のStar of Indianaがドラムコーの将来を大きく変えた」と・・・。私はその一員であったこと誇りに思っています。

規律、集中力を教えてくれたドラムコー、マーチングバンドに感謝

1994年からは音楽教育者の資格を生かし、最初の一年はGlassmenを指導しました。翌95年にワイオミングのTroopersを指導し、96年にはベースドラムの強化を依頼され、私は再びBluecoatsに戻ることになりました。そして、オースティン高校やクリアブルック高校、クレメンツ高校など指導しました。これらの学校のマーチングとコンサートは国内ではもちろん海外でも高く評価されています。

私は、このDCIでの経験や指導を通して、ドラムコーやマーチングバンドは私をミュージシャンに育ててくれたばかりか、生徒達に目標に向かって進む動機を与えられる事のできる音楽教育者にまで私を育ててくれました。また、規律・集中力を教えてくれたドラムコー、マーチングバンドに感謝しています。

音楽とは、学校の校風を表現し、たくさんの人に見てもらう機会を…

私は、13年間アメリカのオハイオ州・テキサス州の学校で、アンサンブルを教えています。テキサス州のPasadenaやKartyのバンドディレクターやパーカッション指導を長年しました。最近では同じテキサス州のシュガーランドで初心者レベルから高校レベルまでのパーカッションを教えています。

また、初心者のローブラスを指導することもあります。また、70人編成のコンサートバンドも指導しています。

ここでは、1600人の生徒の内450人がバンドに所属しています。練習は毎日、学校の授業の中に選択科目として組み込まれています。授業は、木管楽器・金管楽器・パーカッションと3人のバンドディレクターがいて、ビギナー教育としてまずこの3つのクラスに分かれて50分の授業を受けます。このように分けることで、ブレス(息)、トーン(音色)と個性のあるサウンドに集中できます。またこのビギナー教育の合間にフルコンサートバンドの演奏をします。この時バンドディレクター3人は各パートのコンダクターを勤めます。これらのバンドは技量レベルにより構成されています。1~2年演奏を続けます。生徒が建設的で積極的に音楽基礎を習得するためにはこれが有効だと思います。

私は、いろんなスタイルの音楽を幅広く教えるようにしています。例えば、フットボールの試合には、ポピュラーな音楽をしたり、コンサートやフェスティバルではシンフォニックといったようにです。生徒達はソロ・アンサンブルの大会に参加します。私は、その生徒達を指導します。1のレベルを5のレベルになるようにです。PTAや新入生歓迎会、オリエンテーションといった学校の行事には必ず参加させます。音楽は学校の校風を表現するものと考え、生徒には機会をみつけては公演する事を薦めています。

音楽は!少しでも良くなろう。そして、良くする為に努力する。人間性も必ず進歩しているに違いありません。

メッセージ

音楽に対する情熱を持ち続け、目標に向かって努力し一歩ずつ前進し、たくさんの事に挑戦し夢を諦めないで下さい。きっと願いは叶えられます。
また、アメリカでは新入生歓迎会に参加したり、運動会に出演し雰囲気を盛り上げたり、PTAの会議などにも参加しています。アメフトや野球などのスポーツには学校のみならず社会の大会にもたくさん参加します。クラブ活動に留まらず色々な活動をすることで腕も磨け、また社会的な認知も獲得していけるに違いありません。このようなページェント活動をもって、日本のマーチングが今後も発展する事を願っています。この文化活動を広め、そしてショーがもっと感動するような新しいデザインを開発してくれることを期待します。数年のうちに国際的なレベルになり国際舞台での大会に参加することを願っております。

Pro-Mark&Evans

プロマークは音楽業界に深く根を下ろした素晴らしいファミリービジネス(同族会社)です。今年はプロマーク50周年になります。生産する商品とそれを作る人たちが業界のイノベーター(開発者)であり、リーダーであると認識されるに到る50年の歴史です。

又、ドラムヘッドのエバンスは音色の素晴らしさとアーティキュレーション(明瞭な音の表現)において優れたドラムヘッドです。バスドラムヘッドのマフリング(音を抑える)効果は屋内マーチングには最適である。是非日本のバンドにも薦めたい。と一言PRをさせて頂きました。

この8ヶ月日本のマーチング及びアンサンブルを直接見ることが出来、とても幸せでした。今後は日米間の架け橋となり、それぞれの日本の良さを伝え、皆様の役に立ちたいと考えています。又、どこかの会場でお会いできる時を楽しみにしております。
See you again!

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