神奈川県立湘南台高等学校吹奏楽部 White Shooting Stars

Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載

神奈川県立湘南台高等学校は、小田急江ノ島線湘南台駅より徒歩で10分ほどのところにある。もともとは吹奏楽部であったがマーチングバンドとして再出発して現在は120人以上の大所帯で活動している。今回はこの湘南台高等学校の歴史についてうかがった。

顧問をつとめるのは羽場弘之先生である。羽場先生が湘南台高校へ赴任してきたときには部員が3人しかいなかったという。それから何とか増やしても25人程度にしかならなかった。そこで羽場先生は前任の学校で経験のあったマーチングをやることにしたそうだ。もちろん部員が増えないからという理由ではなく、マーチングは知らない人でもやってみたくなる魅力をもっているからだと羽場先生は語る。その年の吹奏楽コンクールが終わってすぐにマーチングバンドへ転換、部員12名でのスタートだった。

羽場先生がまずとりかかったのは「ルールを決めること」だった。勝手に休んではいけない、辞めるときは学年が上がるときのみ、などである。やはりマーチングは一人でも休んでしまうとドリルの形が見えなくなったりインターバルが取れなくなったりして周りの人にも迷惑がかかってしまうので満足な練習ができるための最低限の決まりを定めているとの事です。

このようにして始まったマーチングバンドは、おそろいのユニフォームを着て横浜アリーナの神奈川県大会に出場したいという12名の頑張りがあって、その年には部員が31名にまで増えた。しかし3月になれば3年生は卒業してしまうわけで、なんとかしてそれまでに部員を増やすことはできないかと試行錯誤が繰り返され、出した結論は「3月にコンサートを開くこと」だった。近隣の小中学校に招待状を送る方法をとったのだが、これが功を奏して4月には20名以上の新入部員が入り、49名となった。

部員を増やすために、夏と秋にそれぞれ公開練習をおこなったり、定期演奏会には招待状を送ったりしている。部員が個人的にも母校のバンドに行って湘南台高校のことを説明して入部するようにお願いしているとのことだった。部員の苦労があってここまでの人数が確保できているのだと感じた。

部員の確保ができるとメンバーの士気はいよいよ盛り上がる。現在のメンバーは最初からマーチングしか経験していない。部員たちの意識も変化してきていると羽場先生は語る。部員たちは情熱的な言葉で勧誘するようになってきて、コンテストにおいても常に上を目指そうという気持ちが強くなってきているそうだ。このようないい条件が重なり、結果も小編成金賞、その後大編成となり昨年12月におこなわれた全国大会では金賞を受賞、名実ともに一流バンドの仲間入りを果たしたのである。

また湘南台高校の新入部員はもちろん管楽器経験者も多いが、まったく何もやっていなかった部員も多い。中学時代は野球部、水泳部、美術部・・・という具合だ。湘南台高校では入部すると一年生から即レギュラーである。経験は関係ない、みんなで一緒に頑張っていこうということで全員がレギュラーメンバーに入ることになっているという。

目的を持ち、ルールを最初に作って活動している湘南台高校は、これからマーチングに取り組もうとするバンドのまさに格好のお手本バンドなのである。今後の活躍と発展がとても楽しみである。

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