横浜市立小机小学校 マーチングバンド

Drum Corps Fun vol.2(2007年4月11日発行)に掲載

マーチング熱が高い横浜で、大会出場わずか4回にして全国大会出場を成し遂げた小机小学校マーチングバンド。その強さの秘密を探ってきた。

横浜市港北区。JR横浜線の小机駅を最寄り駅とする小机小学校。2002年の日韓サッカーワールドカップ決勝戦の舞台となった横浜国際総合競技場(現、日産スタジアム)を見下ろすことができる小高い丘の上にある。バンドは3年生から6年生までの63名で構成されており、練習は朝練習と放課後練習、そして土曜日に一日練習を行っている。

『ここまでの道のりはとても大変でした。』
これは顧問の加藤紫乃先生の弁。先生がこの学校に着任した当時、バンドとしての活動は運動会や地域のイベントで発表するだけ。楽器はしっかりとしたメンテナンスをしていない為、どれもすぐには使えない。お世辞にも良いとはいえない状態だったという。そこで、何とか子供たちに楽器の楽しさを伝えたい、そしてもっと上手になって欲しいと考え、その方法として大会出場を決めたそうだ。そして、同じく顧問の鈴木暁範先生とともに様々な問題を一つずつ解決していったという。さらに大会出場に際して、講師に伊藤展志先生、ガード指導に金田和恵先生を迎え基礎から着実に力を付けていった。やがて、成績を残していくに従ってたくさんの応援をいただけるようになっていったという。現在は、小机小学校のPTA会長や地域の自治会の会長らが協力して【小机小学校マーチングバンドを応援する会】を発足させ、地域ぐるみで支えてもらえるまでになった。

加藤先生に、これまでの成功についてお伺いした。
『大きな転換期は、やはり昨年度の関東大会であと一歩というところで全国大会出場を逃したことだと思います。今にして思えば、あれがあったからこそ子供たち、スタッフ、更にはお手伝いしていただいている保護者の方々との間に今まで以上に強い一体感が生まれました。想像も出来なかった武道館のステージを具体的に意識するようになる過程では大変なこともありましたが、今年、全国大会に出場できた時は、みんなの夢が叶った最高の瞬間でした。』

練習を見学させていただくと、基本練習にかなりの時間をかけていることに気づいた。
『別に特別なことではありません。土曜日の練習では1時間以上、平日でも必ず基本練習に重点を置いています。小学生だからといって音に妥協をしてしまうと良いものは生まれません。こちらとしても、練習時間は子供としてではなく一人のプレイヤーとして向かい合うように心掛けています。この学校の子供たちの良いところは、とても素直。与えられた課題について何の抵抗も無く取り組んでくれています。』

休憩時間に、今年度部長の遠藤さんと、副部長の折笠さんにお話を聞くことが出来た。
彼女たちいわく、このバンドの最も良いところは「ノリ」がいいところだと言う。それは、メンバーのみならず顧問の先生方も同じらしい。“演奏の場”では、先生と生徒が一緒に衣装を用意して曲に合わせて振り付けで踊ったり、様々なイベントでは本格的な道具を手配してしまったりしたこともあったらしい。そういうわけで、先生と子どもたちや子どもたちどうしでもとても仲がいいということだ。

今年度は、全国大会金賞まで“あと一歩”という結果だったが、来年度はこの悔しさをバネにして、台風の目となる予感をさせるバンドという印象を受けた。

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