ザ ヨコハマ スカウツ

Drum Corps Fun vol.2(2007年4月11日発行)に掲載

「もう一度マーチングがやりたい!!」

The Yokohama Scoutsの始まりは、今から18年前。この思いを合い言葉に、当時横浜市立日枝小学校の教諭であった高橋俊充先生のもとに集まった8人からのスタートでした。今はメンバーも100人を越えるほどに増え、出身地も東京都や埼玉県など、幅広い地域に広がりました。結成当時のScoutsを知る人は、「まさかこんなにScoutsが大きくなるとは・・・」と驚きの声を上げています。年月を経るごとに、少しずつ成長してきた団体です。

主にメンバーを構成しているのは、横浜市内の小学校を卒業した中高生。これまで卒業してもマーチングを続けたい、という思いで集まってきたメンバーでしたが、近年変化が見られるようになってきました。「先輩と同じScoutsで自分も演奏したい。」「いつも教えにきてくれるあのコーチと一緒に演技がしたい。」メンバーを意識した声が多く聞かれるようになりました。Scoutsのメンバーの中には、練習のない休日や、朝の登校前の時間を利用して出身小学校を教えに行っているメンバーが多くいます。また、正規のコーチやスタッフとして小学校に招かれているメンバーもいます。マーチングが好きな子が一人でも増えてほしい、マーチングの楽しさを伝えたい。マーチングに対する純粋な気持ちが各地で代々引き継がれ、Scoutsにパワフルな中学生を増やしています。一方、一期生の中に今も現役でがんばっているメンバーがいるのもとてもうれしいことです。最大歳の差18歳!!この大きな壁を乗り越え、ひとつのショーを作るためにまとまるのは簡単なことではありませんが、中高生の若さと根性、年上組の支える気持ちでカバーし合いながらがんばっています。

これまでのScoutsの歴史を見ると、決して順風満帆なものではありません。一般団体として大会に出場するようになった1992年からは、県大会突破もままならず、ずいぶん悔しい思いをしました。転機となったのは、1996年。初めてDCIへエントリーした年です。アメリカでの集団生活は、時差ボケがなおらない、食事が合わない。そんなことを言う暇もなく次々やってくる長時間の練習。中学生はケンカをしたり、突然泣き出したり。始めはそんなぐちゃぐちゃの状況でした。でも一つの目標に向かってみんなで必死になることで、見ている人も自分たちも心から感動させられるショーを体で感じることができました。大きな自信を持って帰国し、その年から関東大会に連続出場しています。その後メンバーの数も増え、2002年には念願だった、一般団体としての全国大会出場を果たすことができました。2006年シーズンは、マーチングin岡山でのV6達成や、全国大会7位、さらにパーカッションは1シーズンの中で、関東大会、DCJを含む4大会でのハイパーカッション獲得など、喜ばしい成績を残すことができました。

主な練習場所は横浜市の遊園地、八景島シーパラダイスにあるイベント広場で、土日を中心に行っています。ジェットコースターをバックに行うランスルーは格別です。また海がすぐそこにあり、とても開放的な気分で演奏演技することができます。観光客や遊園地特有の楽しい雰囲気が流れる中、イベント広場だけは異様な空気が広がっています。張り詰めた緊張感や、迫力のある音に誘われ、練習の様子を興味深そうに見ていく人がたくさんいるのもそのせいでしょう。大変なのは、強い潮風の吹くときと突然の雨に降られた時です。逃げ場がありません。そんなときはいっせいにピット楽器を守る協力体勢ができています。屋外の練習で天候に左右されやすいのですが、悪天候の練習を乗り越えるたびに環境に負けない打たれ強さと仲間意識が強くなっていくのを感じます。社会人も多いので、大会直前でなければ練習に全員がそろうことは難しい状況です。しかし、大切な練習時間を無駄にしまいとパートリーダーを中心に声をかけ合い。一回一回が価値のある練習になるようにしています。たいていの練習に、元メンバーが来てくれるのもとても心強いことで、カウントを打ってもらったり新人の子の個人レッスンを頼んだりと、今ではなくてはならない存在です。スタッフが少ないときにも、手厚いサポートを受けて練習することができるのはとてもありがたいことです。

Scoutsのメンバーは、みんなScoutsのことが大好きです。もっとみんなが音楽を楽しめる団体にするためにはどうしたらいいか。一人ひとりの技術の差、気持ちの差を埋めるためにはどうしたらいいか。みんながよりよいScoutsにするために、一生懸命考えながら活動している姿はとても気持ちのいいものです。やらされているのではなく、自分たちで進んで活動している様子が伝わってきます。「自分で工夫して自分で動け!」そこには高橋先生の方針が根付いているように思います。小学校でのマーチングとの出会いや、Scoutsでの教え合いの雰囲気、そしてなんといっても高橋先生の影響が大きいのでしょうか。メンバーの中には小学校の教員を目指す者が多く、これまでに5人のメンバーが夢を果たしています。そのほとんどがScoutsのメンバーを続けながら、小学校でのマーチングバンドに関わっています。自分が出演する立場としても、子どもたちの応援をする立場としても、マーチングのすばらしさを発信し続けられる存在であってほしいと思います。

これからも成長しつづけます!!
~2007年・夏~ The Yokohama Scoutsは3度目のDCIに挑戦します。前回のエントリーから8年。国内の大会において、一歩一歩力をつけてきました。これまでの活動のひとつの集大成として、また今後の活動への新たな一歩として、一同がんばってきたいと思います。
そして国内の2007年度のショーでは、きっとまたひとつ成長したTheYokohama Scoutsの姿を見ていただけることと思います。ぜひ、ご声援よろしくおねがいします!!

最後に私たちのキャプテンが2006、DCJの後に残した言葉を紹介します。
「たくさんのお客さん、Scoutsを応援し、ショーを楽しみにしてくれている人たち。そんな人たちが見守っていてくれていることを忘れずに、一人ひとりがプライドを持って、自分の為だけじゃなく、多くの人に感動を与えられるThe Yokohama Scoutsとして、これからもがんばっていきます!!」
By Corps Captain 

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