「劇団四季」経験を超えて、さらに先へ

Drum Corps Fun vol.4(2009年4月18日発行)に掲載

劇団四季55周年に贈る最高にスタイリッシュなステージ

劇団四季ソング&ダンス~55ステップス~』― 創立より55年、数多くのミュージカル作品を手がけてきた四季の集大成とも言うべきショウが、約半年に亘り四季劇場[秋]にて上演されました。
 
『ソング&ダンス』シリーズは、1999年に劇団創立45周年記念企画として初上演(副題「ミュージカルの花束」)。「ミュージカルでもない、ドラマでもない、まったく新しいエンターテインメント」として絶賛され、日本演劇界に新分野を確立しました。
以降、2000年に第2弾(「オーヴァー・ザ・センチュリー」)、2004年に第3弾(「RUN TO THE FUTURE」)を発表。今回の「55ステップス」は第4弾、実に4年ぶりのシリーズ最新作となりました。

構成・振付・演出を担当するのは、劇団四季のトップダンサーであり、今や四季のミュージカルのクリエイティブスタッフとしても欠かせない加藤敬二氏です。
加藤氏の独特なセンスとテイストを駆使して、劇団四季が歩んできた“足跡”を様々なジャンルの音楽に乗せて、歌とダンスで表現する本作は、創立55周年のセレブレーションイベントに相応しいショウとなりました。

作品の根底に流れているテーマは“出会い”。四季がこれまで出会った様々な作品、観客、才能・・・。それらの素材を加藤敬二氏がどのように料理をし、観客に提供するのか。
抜群の歌唱力を誇るトップシンガーと、表現力豊かなトップダンサーたちによる華やかな“ミュージカルの宝石箱”。
迫力と興奮のステージ、それが『劇団四季ソング&ダンス~55ステップス~』です。

このステージでは、劇団四季の代表的なミュージカルナンバーを中心に、おなじみの名曲がメドレーとして展開。単に作品のハイライトシーンを切り抜くのではなく、その曲の持ち味を生かしながら、すべてを『55ステップス』のステージの為に再構成する。劇団四季の55周年の蓄積が全て詰め込まれた、歌とダンスが一体となった最高にエキサイティングなステージが、『55ステップス』なのです。

リクエスト曲を取り入れた、ステージ構成

キャストは、劇団四季の洗練されたダンサーとシンガーの男女計25名で編成。お馴染みの『キャッツ』『オペラ座の怪人』『ジーザス・クライスト=スーパースター』などのナンバーのほか、お客様からのリクエスト曲を披露することも話題のひとつ。劇団四季の歴史に欠かせない「昭和の歴史三部作」や、まだ東京では上演していない『アイーダ』からも、ナンバーが披露されました。

少年のような遊び心が満載  “敬二流”の演出

加藤敬二氏の演出の最大の特徴は誰もが圧倒される見応えのあるステージを、身近な道具を使って創り上げる“敬二流”ともいうべき独特なセンスでしょう。俳優が旅公演で使用する、銀色の箱“ボテ”や“バランスボール”、“縄跳び”、“BMX”等も登場。
そして、マーチングパーカッションによるドラムラインにもチャレンジしています。リクエストナンバー第1位に輝いた『クレイジー・フォー・ユー』の「アイ ガット リズム」を題材にスネアドラム・テナードラム・バスドラムのマーチング楽器とカラーガードを使い、見事なドリルフォーメーションを繰り広げます。劇団というステージの枠組みの中で、マーチング楽器と四季のトップシンガー・トップダンサーとのコラボレーションという新しいチャレンジは、とても刺激的で素晴らしいステージを生み出しました。

客席まで巻き込む大胆な演出

お客様との“出会い”を大切に、劇場全体をステージにしてしまうかのような、大胆な演出が考案されています。55年間、喝采、拍手、熱狂、客席から沸きあがる熱い声援に支えられてきた、劇団四季の新たなステップが繰り広げられました。

リクエストの中から選ばれた数々のミュージカルの名曲が夢の競演

今回の公演では、ファンの方々から「観たい、聴きたい」曲のリクエストを募集。数々のナンバーが採用され、曲や振付をアレンジして『55 ステップス』オリジナルバージョンとして登場しました。これらのナンバーが、誰も想像もつかないような姿に変わって舞台に登場しました。

≪ディズニー作品より≫
『美女と野獣』 「ビー・アワ・ゲスト」
『ライオンキング』 「シャドーランド」/「早く王様になりたい」
『アイーダ』 「勝利ほほえむ」/「愛の物語」/「星のさだめ」

≪ロイド・ウェバー作品より≫
『ジーザス・クライスト=スーパースター』 「ピラトの夢」「スーパースター」
『キャッツ』 「メモリー」/「ラムタムタガー」
『エビータ』 「飛躍に向かって」「ブエノスアイレス」
『オペラ座の怪人』 「オペラ座の怪人」

≪四季オリジナル作品より≫
『ミュージカル李香蘭』 「二つの祖国」
『ミュージカル異国の丘』 「名も知らぬ人」
『ミュージカル南十字星』 「祖国」
『夢から醒めた夢』 「夢を配る」
『ユタと不思議な仲間たち』 「夢をつづけて」「見果てぬ夢」

≪その他ブロードウェイ作品より≫
『マンマ・ミーア!』 「夢があるから」/「この手をすり抜けて」
『クレイジー・フォー・ユー』 「アイ ガット リズム」(☆リクエストナンバー第1位)
『アプローズ』 「ようこそ劇場へ」「アプローズ」
『ノートルダムの鐘』 「トプシー・ターヴィー」
『サウンド・オブ・ミュージック』 「ド・レ・ミ」等のナンバー

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