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DCI JUDGE アメリカでの審査方法について

Drum Corps Fun vol.3(2008年3月25日発行)に掲載

梶山 宇一

2004年6月、日本マーチングバンド・バトントワリング協会愛知県支部理事長、関根清和氏より「日本のマーチング発展のため、アメリカでDCIの審査方法を学び、審査資格を取得してきてくれないだろうか。」というお話を頂き、2ヶ月間アメリカに渡りました。DCI JUDGE CLINIC(DCI審査方法勉強会)と呼ばれる会に2日間出席し、アメリカ全土から集まった200人以上の審査員と共に、その年の審査方法を勉強しました。その後、3回のトライアルジャッジ(見習い審査員)を経験し、実際に、リアルタイムテープ審査をしました。そして、最後に、フロリダ州、オーランド市で開かれた、JUDGE’S COLLEGEにおいて審査員の免許を取得するためのテストを受け、後日、DCI審査員としての認定書を頂きました。今日は、その2ヶ月間に私が学んだことを、皆さんにお話したいと思います。

DCI JUDGE CLINIC 
Chicago, Illinois
June 4-5, 2004

Welcome Session―審査委員長挨拶

John Phillips
1日目 8:00pm-9:00pm

 2日間の講習会は、審査委員長、ジョーン・フィリップス氏の挨拶から始まりました。フィリップス氏は、みんなを和ませるため、面白いゲームから、講習会をスタートさせました。皆さんも一緒に考えてみて下さい。

 わかりましたか。自分の想像力をテストするつもりで、少し時間をかけて考えてみてください。他の紙に大きく点を書き写してもいいです。回答は、最後に発表します。フィリップ氏は、答えをホワイトボードに書いた後、皆さんにこう述べられました。「各団体のクリエーターたちは、今、[枠]を飛び越えようとしています。このゲームの答えのような発想で、ショーを作り上げようとしています。今まで我々が考えてきたマーチングとは、まったく違う観点から、新しいものを作り出そうとしています。だからこそ、我々審査員も今までの固定概念をなくし、彼らのやろうとしていることを理解できるだけの想像力と、開拓の精神を持たなければいけません。」

 この言葉に私はとても感動しました。21世紀に入り、ドリルも、コンピューターグラフィックの性質を持つ作品が増え、昔はタブーとされた楽器の操作や、ブラスメンバーによるダンスなども、ショーを作り上げるための大切な要素として受け入れられるようになりました。こういう新しい時代の流れを、審査員が理解し、高い評価を与え、新しいアイディアを殺さずに「生かしてきた」からこそ、個性的なショーが数多く生まれるようになったのだと感じました。ショーを作る人間と審査員とが、協力し合い、より良い作品を作り上げてきたのだということに、初めて気づかされました。

 何より感心させられたことは、審査委員長自らが、「クリエーターたちは素晴らしい能力を持っている。その能力を尊敬しなければならない。」という姿勢を示していることです。審査員といえば、各団体の弱い部分を指摘し、点数をつける立場です。自然と、上から見下ろしてしまいがちです。しかし、フィリップス氏は、我々に、常に、クリエーターやメンバーが表現しようとしているものを尊重し、お互いに尊敬しあえる立場を保たなければならないと教えて下さいました。

General Effect―
全体音楽効果、全体ビジュアル効果

Jay Kennedy
1日目 9:00pm-10:00pm

 有名な作曲家・編曲家としても知られ、ドラムコーの審査経験も豊富な、ジェイ・ケネディー氏によって2時間の講義が行われました。とても興味深く、ためになる講義でした。

 最初に、5曲、曲を聴きました。1曲目は、意味のわからない、20世紀音楽のような曲でした。「何の曲かわかりますか?」と聞かれても、誰も答えることはできませんでした。次に聴かされた曲は、モダンジャズヴァージョンの「Happy Birthday!」です。これも、わかりにくい曲でした。その次に聴かされた曲は、ラテン系の曲で、ノリのいいリズムに、トランペットが格好よくメロディーを奏でていました。これもまた「Happy Birthday!」で、最後の2曲はすぐにHappy Birthday!とわかりました。

 その後、ケネディー氏が、もう一度最初の曲を聴いてみましょうと言われました。そして聴いてみると、最初に聴いたときはまったくわかりませんでしたが、その時は「Happy Birthday!」に聴こえました。メロディー、ハーモニー進行、リズムはまったく違いますが、なんとなく「Happy Birthday!」に聴こえました。ハーバード大学の音楽研究者が作った作品だそうです。

 ケネディー氏は私たちに、「各団体のクリエーターたちは、今、こういうことをしようとしています。我々の、想像力を遥かに超えた作品を、生み出そうとしています。だから我々も、ジャズが嫌いだから、ジャズを聴かない、カントリーミュージックは聴きたくないという姿勢ではなく、いろんなジャンルの音楽、絵、芸術と向き合い、勉強し、彼らが表現しようとしている作品が理解できるよう、日々努力しましょう。」と述べました。ケネディー氏もまた、クリエーターの質の高さと、彼らの想像力の豊かさを強調し、尊敬の意を表していました。クリエーターも進化しているのであれば、審査する側も新しいアイディアを受け入れられるだけの器を持たなければならないということを、改めて感じました。

 General Effect―全体音楽(ビジュアル)効果とは、作品そのものを評価する項目です。点数の比率としては、100点満点の中で最も大きい比重を締め、General Effectの得点が最も高い団体が優勝することがほとんどです。

 ケネディー氏は、デイブ・グルーシン編曲、ウエストサイド物語「Something’s Coming」を流し、全体効果の点数が高い作品とは、常に「見る人、聴く人を飽きさせない作品だ」と説明してくださいました。曲を流しながら、彼はこう説明してくれました。「冒頭はピアノとリズムセクションから始まる。17小節目からトロンボーンが入り、メロディーは木管セクションへと受け継がれる。その後トランペットが、印象的なモチーフを奏で、ブラスセクションが加わり、拍子は変拍子へと変化していていく。リズムはスイングからラテンのリズムへと変化し、もう一度スイングに戻った後は、テナーサックスのソロで雰囲気を変えていく。(続)」常に、視聴者を飽きさせず、見るものたちと演奏・演技する側との間に生まれる緊張感を切らない作品こそが良い作品だと、教えてくれました。

 ケネディー氏は、レオナルド・ダビンチの言葉で、最後、我々にこう語りかけました。

“Painting is music which is seen and not heard, and music is a painting which is heard but not seen.”
Leonardo da Vinci

“絵とは、見えるが聴こえない音楽である。音楽とは、聴こえるが見えない絵である。”
レオナルド・ダビンチ

 たとえ、そこに音楽がなくても、ドリルやガードの演技、ビジュアル効果を見ているだけで、音楽が聴こえてくる。そこに一切の色彩が描かれていなくても、音楽を聴くだけで、情景が浮かび、明るさや暗さ、喜びや悲しみを感じることのできる音楽。これらの特別な作品こそが、高い評価を受け、多くの人に愛されるのだと、ケネディー氏は、私たちに伝えたかったと私は感じました。

Music Ensemble―
ミュージックアンサンブル

Jay Bocook and Neil Larrivee
2日目 9:00AM-12:00PM

 2日目は、音楽の審査員とビジアルの審査員に分かれ講義が行われました。このセッションには毎年、DCI上位団体のアレンジャーやビジアルデザイナーが講師として出席します。そして、審査員に対して、どのような点を指摘し、どんなコメントをしてほしいかを話します。2004年は、キャデッツのアレンジャー、ジェイ・ブーコック氏と、ニール・ラリビー氏が、来られました。

 実際にブーコック氏と、ラリビー氏が書かれた譜面を、コンピューターで流し、大きなスクリーンに譜面を映し、解説をしてくれました。講義のすべてをここで説明することはできませんが、彼らが強調された、とても重要なポイントをここではお話します。2人は、メンバーたちが挑戦しようとしている「難易度」について、理解してほしいとお話をして下さいました。

 現在マーチングには大きく分けて3つの難易度があります。

1.技術的な難易度(Musical Demand)
2.物理的な難易度 (Physical Demand)
3. 環境的な難易度 (Environmental Demand)

一つ一つをご説明します。

1.技術的な難易度とは、従来私たちが言う譜面上の難しさで、管楽器であれば、早いパッセージやハイトーン、打楽器で言えば、ハイテンポな譜面やフラム奏法などです。

2.物理的な難易度 最近見直されるようになってきたのがこの難易度です。フォーメーション上、大股で移動しながら演奏をしなければならなかったり、管楽器を200のテンポで歩きながら演奏しなければならなかったりなど、マーチングの難しさが演奏に負担をかける場合の難易度です。

3.環境的な難易度 この難易度が,一番気が付きにくいです。ブラスとパーカッションが30ヤード以上離れながら、演奏を合わせなければならなかったり、ドラムが円を作って演奏をするときのリスニングの難しさ、またピットが20ヤード以上離れて演奏をする場合など、場所や環境によって生まれてくる難易度です。

 これらの難易度にまず気づいてほしいと言われました。気づいた上で、どれくらいこなされているかコメントしてほしいと言われました。気づきながら審査がなされるのと、気づかずに審査がされるのとでは、そこに生まれてくる得点はおのずと変わってきます。その難易度に気づかず、音が揃わないという理由で、点をただ減らしてしまっては、スタッフやメンバーたちが挑戦しようとしている新しい試みが無駄になってしまいます。だからと言って、難易度さえ高ければ、得点が高くできるわけではないので、そこに存在する難易度を認知しながら、完成度を評価してほしいと言われました。

 Music Ensemble(ミュージックアンサンブル)とは、ブラスとパーカッションのタイミングのずれや、テンポコントロール、音楽性などを評価する部門です。しかし、一昔前のように、ただ、音楽だけを聴いて、完成度を評価するだけでは、不十分になってきました。ドリルの難易度を考慮した上で、得点をつけなければならないということを学びました。

Percussion Performance―
技術パフォーマンス

Glenn Fugett
2日目 2:30pm-6:00pm

 パフォーマンスの審査とは、フィールド上で、メンバーたちの演奏を聴き、マーチングの技術を観察し、審査するという部門です。得点としての割合は、全体100点満点の中で一番少ないですが、メンバー一人一人の上達に関わる大切な部門です。

 2日間講習の最後は、パフォーマンスの審査方法についてでした。パフォーマンスの審査テープは、パーカッションであれ、ブラスであれ、審査中に感じた驚きや、感動を、声で表し、メンバーの上達に繋がるようなコメントをするべきであると学びました。特に、このセッションでは、「音楽性について」、審査員の中で議論がなされ、常に、「音楽性」をメンバーに学ばせることが大切であるということを強調されました。ただ「音がずれた。」「音量が大きい、小さい。」だけをコメントするのではなく、そこに生まれる音楽性がどうであるかを評価し、伝えてあげることが必要だと言われました。

 ここでは、得点のつけ方について少しご説明します。最近日本でもよく使われるようになってきた、ボックスファイブ(BOX5)制度です。この制度は、パフォーマンスだけではなく、先に述べた、General Effect やMusic Ensembleでも使われる得点システムです。

 5を最高評価とし、数字が若くなるほど評価が下ります。(日本の通信簿と同じですね。)表1で記したように、各ボックスに得点が定められています。各ボックスの中に定義文が書かれていて、審査員はその定義文と照らし合わせながら得点をつけます。 

 この制度の良いところは、得点をつけた審査員にも、得点を付けられた側にも、なぜその点数になったかということが明確だという部分です。そして、点数やテープ審査で説明できなかった部分を、大会後、双方が納得のいくよう話し合いをする場が設けられ、意見を交換しあいます。

 5のランク(いわゆる90点以上)はそう簡単には、付けてはいけないと教えられました。決して、BOX4の延長上という得点の出し方はせず、常にBOX5は「特別な場所」だと意識してほしいと念を押されました。ですから、シーズンの始め頃に、90点以上の点数が出ることはありません。5は、完璧の域を表し、各団体は、まずボックス5に届くよう、練習を進めます。すべての条件が揃うまでは、5の評価を付けることは許されません。

 BOX5制度の利点は、審査員と団体のスタッフとが、点数を見てコミュニケーションがとれることです。また、アメリカでは長期に渡り、30回以上もショーを重ねていくので、グループの成長過程を点数から見ることができます。以前までは、この5段階スケールは、ディビジョン1から3、あらゆる団体に適応されていたため、同じ大会の中で、1位85点、最下位32点と、大きく点数に差が開くこともありました。しかし、今では、小学生や中学生など、若いメンバーが多く所属するディビジョン2や3などに、30点や40点をつけることは教育上良くないと議論され、現在は定義文も変更され、ディビジョン1とは別々の審査方式で審査されるようになりました。

TRIAL JUDGE

Drum Corp Midwest
June 18, 24, 26

 2日間の勉強会を終え、私は、ミッドウエスト地域で開かれた3回の大会で、実際にリアルタイム審査をしました。他の審査員の方々と同じように審査はするものの、私の得点やテープ審査は、実際の点数にはなりません。大会後に正審査員の方の得点と私の点数を照らし合わし、いろいろなアドバイスを頂きました。一日ずつ、ジェネラル・エフェクト、ミュージックアンサンブル、パーカッション・パフォーマンスを、それぞれトライアルジャッジしました。

 ご存知の方も多いと思いますが、アメリカでは、大会終了後、審査員と団体のスタッフとがお互いの意見を交換し合う、クリティークという場が設けられています。そこで、お互いが意見を交わし、ショーをより良いものにしていきます。ジェネラル・エフェクトを審査したA審査員から私は、クリティークで、各団体への対応の仕方を学びました。

 とても印象に残ったやり取りがあります。2004年、キャバリアーズは「007」という素晴らしいショーで、大会に臨みました。当時、キャバリアーズのパーカッションスタッフを勤めていた、ブレットクーン氏が、A審査員に、こう問いかけました。「私たちは、今シーズン自分たちがやり遂げようとしていることに、しっかりしたビジョンを持っています。ですから敢えて細かいことは聞きません。ただ、一つ質問に答えてほしい。8月までの長いシーズンの間に、これだけは、というアドバイスがあれば教えてください。」A氏は、少し考えた後、こう答えました。「今年のショー(007)は、誰にでも親しまれやすくわかりやすいテーマです。しかし、みんなが知っているだけに、観客からの期待度は大きく、飽きがくるのも早いでしょう。2ヶ月のシーズンを通して、いかにショーをフレッシュな状態に保っていくかが、最大の課題だと思います。」A審査員の一言には、とても説得力があり、クーン氏も、感謝の言葉を述べられました。お互いを対等に尊敬しあっているからこそ、生まれてくるコメントだと感じました。

 こんなこともありました。ある団体のスタッフの方が、「観客からの歓声は一番大きかったのに、点数が上がらない。」と激怒して、A審査員に訴えました。ショーの中に、バンド全体が、ホルトでFFF(フォルテシシモ)を吹き続け、ドラムメジャーが、観客の方を向いて写真をとるというユニークな場面があり、地元の観客は立ち上がり、大声援を送りました。その団体のスタッフは、A審査員に対し「お客さんが沸けば、大きなEFFECT(効果)じゃないか。」と、声を上げて話しました。それに対し、A審査員は、「いくらお客さんが喜んでも、そこに芸術性は感じられなかった。君たちの演出に高い評価をつけたとしたら、他の団体は何をして、高い得点を獲得するのですか。あなた方の演出を、他の団体の模範にすることはできません。」と厳しく言われました。観客の声援に紛らわされることなく、的確に作品の価値を評価しなければいけないのだと改めて勉強しました。
 
ミュージックアンサンブルを審査したB審査員からはこんなことを学びました。下記に記した得点表を見てみて下さい。

 お気づきになりますでしょうか。キャデッツを除き、すべての団体は、音楽性よりも技術点が高く付けられています。これは偶然ではありません。B審査員は、「シーズンの最初の時期は、バンド全体に力があればあるほど、技術点が、音楽性の点数よりも高くならなければならない。」と教えて下さいました。有名なチームになればなるほど、世界中から優れたプレーヤーを集めます。その結果、シーズンの最初から技術点は自然と高くなります。しかし、シーズンの中盤くらいから音楽性が技術点を上回り、シーズンの終わり頃は、技術点はある一定の点数よりも上がらなくなるものだと教えてくださいました。確かに言われてみれば、音楽性は、ある一定の技術があれば、どこまでも磨いて、変化を付けていくことができますが、技術は限界があります。

 パーカッション・パフォーマンスのC審査員からは、まずプレーヤーたちの挑戦する難易度に気づき、審査用紙に書かれているすべての項目についてなるべくコメントできるようにしなければならないと教えて下さいました。彼のテープレコーダーにはこんな、小さな紙がはってありました。

技 術:タイミング、発音、アンサンブル、
チューニング、音色、音質

音楽性:フレージング、表現力、スタイル
コミュニケーション、バランス、ブレンド

 これらすべての項目について満遍なくアドバイスを送ることが、大切であると言われました。上位団体には、彼らの高い演奏能力に対して、驚きや、感動のリアクションを述べ、下位団体には、練習方法の提案をすることが良いと学びました。

DCI JUDGE’S COLLEGE

Orlando, Florida
July 16-17, 2004

 6月から始まった勉強の締めくくりとして、私他、7人の見習い審査員と共に、フロリダ州、オーランド市でテストを受けました。最終日には、実際に審査したテープと得点表を提出しました。この二日間でも多くのことを学びましたが、最も大切だと思えたことは、順位と得点差についてです。

Ranking and Rating―
(ランキングとレイティング)

 ランキングとは順位を表し、レイティングとは点数の差を表します。審査をする上で、順位が的確に評価されることも大切ですが、団体と団体との点数差がどれくらいあるかを示すことが大切であることを学びました。1位、2位、3位の順位が的確に表されていても、1位と2位の差はどれくらい離れていて、2位と3位の差がどれくらい離れているかということが、数字で的確に評価されていなければ、不十分であると知らされました。これはとても難しいことです。得点差が的確に示されなければ、メンバーも、スタッフも、目標に届くまで、どれくらいかがわからぬまま、練習を続けなければなりません。レイティングを、瞬時に、そして正確に出すことができるようになるためには、経験が必要です。何度も大会の審査をし、年数を重ねなければならいとも教えられました。

 ミュージックアンサンブルとパーカッション・パフォーマンスをトライアル審査し、コメントを入れたテープと得点表を、審査委員会に提出しました。およそ一ヵ月後、2004年8月15日に、DCI審査委員長、ジョーンフィリップ氏より、無事、テストに合格した旨を通知した認定書が届きました。

 資格は得ましたが、やはり経験を積み重ねながら、より的確な審査をできるよう訓練していきたいと思います。
 

最後に… 

 今回、DCI審査制度について皆様にお話しさせて頂きましたが、私は、ここに述べた審査制度を、日本のマーチングにそのまま適応するべきだとは思いません。むしろ、全く違うものが生み出されるべきだと考えています。日本の立地条件、団体の人数などに合った、日本独自の審査システムを確立していくことが、今後の日本のマーチングの発展に役立つと信じています。年間に30回以上ものコンテストがあるアメリカと、年に3回程度しか大会のない日本とでは、その審査システムはおのずと変わってきて良いはずです。今日までに築き上げてきた日本のマーチングの良さを保ちつつ、日本独自の審査制度が作り上げられることを願います。日本には、それをするだけの知恵と才能があると思います。

 審査員資格取得にあたり、ご尽力頂きました、日本マーチングバンド・バトントワリング協会愛知県支部理事長、関根清和氏。キャバリアーズ元ディレクター、ジェフ・フィードラ氏。そして、私の両親に、心から感謝の意を表します。ありがとうございました。

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