さいたま市立川通中学校 吹奏楽部

Drum Corps Fun vol.4(2009年4月18日発行)に掲載

さいたま市立川通中学校吹奏楽部は本格的にマーチングを始めてからはまだ4年目ながら全国大会まであと一歩というところまで登り詰めている注目の中学校です。今年度で顧問6年目の松本先生が川通中学校に赴任されたときの吹奏楽部の部員数はわずか15名。その当時のお話を詳しくお伺いすると、「この学校に赴任したのと同時に、息子が春日部中学校でマーチングを始めました。その前から春日部中学校の近くに住んでいたこともあって、『マーチングっていいな、こういうのをやれたらいいな』とは思っていました。部員も15名と少なかったので、なんとか生徒たちの活動に活かせないかなと思って、春日部中・中央中に見学に連れて行ったりしていたら生徒たちのほうからもやりたいという声が上がってきたのが始めたきっかけでした。」

本格的に始める前の2年間は普通の吹奏楽部として活動していたそうですが、松本先生ご自身も早くマーチングにチャレンジしたい気持ちがあり9月の体育祭の時にちょっとだけ動いてみようということで、当時春日部中学校の顧問だった木村先生に協力してもらい鉄腕アトムの曲に合わせて動くことにチャレンジ。そして、2年目も同じく体育祭で3年生の子が頑張ってドリルを書いたものを発表したそうです。赴任3年目になったあるとき、銀座パレードに出てみようよと誘われたこともあり、出るのだったら体育祭のドリルもちゃんと書いてもらい、書いてもらうのだったら大会に出てみようかというようにとんとん拍子に話が進んでいき、本格的にマーチング活動がスタートとなった。最初の大会は3年生が5名、残りは1・2年生の部員36名での出場。しかしながら1~2年目の地道な取り組みの効果もあり15名だった部員が今年度は50名を越えている。学校生徒数253人に対して5人に一人が吹奏楽部(1年生に限っては4人一人)という数になり、マーチング効果をもたらしているという。

松本先生ご自身が虜になったマーチング、その魅力についてお伺いすると、「自分がファンだからやっている、それだけです。教師の立場から言うならば、マーチングは子供を伸ばす要素がすべて含まれていると思います。感性の面、頭を使う、体も使う、あと今いちばん欠けている人と人とのつながりです。そういう意味でもマーチングは本当にいいなと思いますね。」

「一生懸命はかっこいい」が学校のモットーであり、それを吹奏楽部でもテーマとして掲げ、日々取り組んでいるということ。また、マーチング以外にも吹奏楽のコンクールにも出場しており、地区大会では金賞受賞するなど音作りにも一生懸命取り組んでいるそうだ。

また、地域のお祭りやパレードにも積極的に参加し、演奏会や合同練習・練習見学などにも生徒たちを出来る限り連れて行くようにしているそうだ。その理由を聞くと「色々なものを見せたり体験させたりすることが顧問としての大きな仕事かなと思ってやっています。そして、生徒たちにはその場所その場所で出会う人たちとのふれあいを大事にしてもらい、多くのことを学んで欲しいと思っています。川通中の子を教えたいといわれるような生徒たちになって欲しいと願っています。」と、松本先生の生徒たちに向けられる暖かい想いを感じた。
どこの学校もマーチングの活動をする中で地域や学校との関わりはとても大事になってくるが、そのことについてお聞きしてみると「地域の人には本当に感謝です。大会前など、時には朝7時前から音を出すこともありますが苦情は一回もなく、よく我慢していただいていると思います。また学校もとても協力的で、他の部活動の先生方も体育館を空けてくれたり応援してくれています。そういったことも含めてこの3年間で経験したことは生徒たちには決して忘れないで欲しいし、部活でないところでも活かして欲しいのが願いです。」と話してくれた。

最後に、バンドとしての夢をお尋ねすると「全国大会に出場することが目標です。それがこれまでの活動の中で支えてくれた方々に感謝の気持ちを表すことにも繋がると思います。もちろん大会だけがすべてではないけれど、ひとつの目標に向かってみんなで頑張りたいと思っています。」と力強い意気込みが返ってきた。
松本先生の熱い情熱こそが原動力となって走り続けている川通中学校吹奏楽部の来年度の活躍を楽しみにしたい。

【コスチュームについて】
山吹色(やまぶきいろ)は岩槻区のカラー。
色を決める時、近辺には山吹色の団体もなく、『目立ちたい』『金賞が取れるバンドになろう』という願いをこめて、山吹色のコスチュームを作りました。

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