東京実業高等学校 Phoenix Regiment Drum&Bugle Corps

Drum Corps Fun vol.4(2009年4月18日発行)に掲載

東京実業高校は国内では高校生で唯一のドラム&ビューグルコーとして活動しています。バンドについて顧問の中村大先生と小島健市先生にお話しをお伺いしました。

バンドの歴史
創部は1977年、8名でスタートです。今年の卒業生が32期となります。当時この学校の教諭をしていた宮武先生という方が、同郷出身である有田先生をこの学校に引き入れたときにクラブを作らないかということでスタートしたと聞いています。その翌年には第一回定期演奏会が行われました。もともと学校には戦時中に軍楽隊のような感じで音楽バンドはあったようですが戦争も終わったことでバンドの活動もなくなっていたそうです。そして、現在のバンド名でもある「Phoenix Regiment」と名称を変更した1983年には全国大会に初出場を遂げ、1988年には初のグランプリに輝きました。

G管導入と有田先生
G管(ビューグル)の楽器導入は1990年です。実は創部当時は木管楽器もあり、木管楽器を担当する生徒はマーチングの活動をするときにはカラーガードに振り分けられて活動をしたそうです。G管楽器へはDCIへの出場を目指しての編成変更でした。そして、実際に91年、93年、95年の3回DCIに出場を果たしました。今では、東京実業といったら『G管でドラムコースタイルでやっているバンド』っていうのが特色になっています。これからもG管の音色がこのバンドの音色であり、それで出来る音楽をやって行きたいですね。
G管導入を決意したのも有田先生で、この頃に発足したDCJにも興味をもって取り組まれていました。有田先生がマーチング協会やDCJの中で変えた功績はたくさんあるのではないでしょうか。そして、有田先生はもともとティンパニ奏者だったのでバッテリーやピット楽器にはこだわっていたのを思い出します。

二人の顧問
顧問の二人ともこの学校の卒業生なんですよ。顧問がマーチングを経験していること自体が珍しいので講師はやりづらいと思いますね。
「私は小学校からトランペットをやっていたので中学は普通の吹奏楽部で、中学校の時にちょうどこの学校と一緒の演奏会があり、その時に学校に誘われ、1986年から3年間在校しました。その後はTokyo PhoenixやDCIでプレーした後、94年に学校に戻ってきました。」(中村先生)
「父親が有田先生と知り合いで、中2の時にこの学校の定期演奏会を見てかっこいいと思い、それまでにやっていた野球からマーチングへ転向しました。1991年から1993年まで在校し、私も中村先生と同じようにTokyo PhoenixやDCIでプレーしました。大学に通っている時に有田先生・横田先生に教職免許を勧められ免許を取得、1999年に赴任しました。」(小島先生)

2001年男女共学化
もともと男子校だったので共学になったときは大変でした。やっぱり抵抗感や戸惑いはありましたね。しかしながら、この時に一気に部員が増えたり、経験者が多く入ってきたこともあり練習が進めやすかったことはとても良かったです。女の子が入ってからも部活の伝統的な部分は基本的に変えるつもりはないんですけど、変わっってしまっているというのは現実的に少しずつはあるかもしれません。
でも実は、それ以前にも女の子が入っていた時期もあったんですよ。ネットでは女装をしているなどと書かれたこともありましたが・・・同一法人の東京高校の生徒が何人かが部活動に参加をした時代もありました。

活動内容
大会以外では地域のパレードや演奏会、近隣中学校の文化祭・体育祭などに参加しています。また、練習は年間250日ぐらいはやってます。学校には校庭もなく、もともと30m×30mを取れるスペースはないので、昨年の建て直し工事が始まるまでは大田区体育館をよく使用おり、今は川崎体育館を借りて練習をしています。もちろん平日のコマのチェックなど細かい練習は学校の体育館でやっています。しかしながら、他の部活が終わってから使うということもあり6時や7時からようやく動きの合わせをするということもあります。

コスチューム
現在は黒・白・赤・ピンクの4種類あります。現在では黒を大会用として使用しており、白いコスチュームは夏場のイベントやイベント用ドリルを披露するときなどで白いコスチュームとシェイコという組み合わせで出演しています。
赤いコスチュームを作ったときは、楽器をG管に変えたときでしたので、それならばコスチュームも一新しようというということで作りました。
1993年の『騎士の日々』というショータイトルの時の演技で、なんとドリルの途中にコスチュームチェンジをやりました。その時に作ったのがピンクの衣装で、コスチュームを赤からピンクへと着替え、なんと帽子もヘルメットからシェイコとチェンジしました。

海外遠征
以前にはメキシコ遠征やDCIなどへ海外遠征をしていた記録がありますが、ここ近年では1999年~2000年にかけて武蔵野高校・京華学園女子・東京成徳高校の4校合同でパリパレードに参加しました。それぞれの学校で希望者を募り、合計で100名での参加となりました。遠征ではオペラ座の前でのパレードやエッフェル塔の電光掲示板が1999年から2000年に変わる瞬間を見ることができるなどとても貴重な体験が出来ました。
その後、パリパレードを手配してくれた旅行会社からホノルルフェスティバルでのホノルルパレードの企画を紹介され、2003年に武蔵野高校と一緒に出場しました。それからは毎年3月、メンバーで希望者を募って人数が集まれば出場するという形になりました。今年は10数名が集まり、それに加えて国学院高校バトンのOG・OBがカラーガードとして参加してくれて行きました。国内とは違い、海外では演奏したときの反応がとても良く、誰もが惜しみなく大きな拍手をしてくれます。それは生徒たちにとってはとても良い経験になると思います。

生徒へのメッセージ
毎年、大変なことばかりでその年その年ごとに色々な生徒とふれ合ったりぶつかったりしていますが、そんなことが出来るのが教師の素晴らしさだと思っています。色々な部分で自分自身も勉強になれるってことを日々感じていますね。生徒たちにも自分にとって大切な経験をしていることに自覚を持って、我慢すること、あいさつをしっかりすること、友達との絆だとかを経験して欲しい。そして、その経験は必ず自分に活かして欲しい。自らを磨く場所であって欲しいですね。

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