山﨑 昌平/Shohei Yamazaki

Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載

日本マーチングバンド・バトントワリング協会 事務局長

山﨑 昌平

今回のマーチングバンド連盟と指導者協会の統合についてお聞きします。

今まで新しい組織についての話は過去2回ほどあり話し合いが行われましたが、やはり別々の組織が話し合うと、いろいろな面で条件が整わずにいました。今回は約2年間にわたり個々的な話より将来マーチング、バトントワーリングの世界にとって何が大事な事なのかという大前提に立てた事が良かったのではないでしょうか。個人には好き嫌いがあっても構わないですし、いろいろな考え方があっても良いと思います。しかしながら、同じ世界の組織が複数あってバラバラに活動をするよりは、将来を考えると、普及をしながら諸問題を解決していく上で、いつかはやらなければならないのではと思っていました。時が過ぎる程、組織を一つにする事は難しくなるのではと思います。今回3回目にして統合までたどり着きました。

しかし大切な事は、これからだと思います。新組織が生まれても大事な事はその運営ではないでしょうか。新しい組織が出来、新しい役員が組織倒れにならぬよう考えて行かねばなりません。良い悪いは、恐らくこの先皆さんに「良かったね」と言ってもらえるような組織運営に心がけ、関係者一丸となって全力を尽くし、次につづく人たちに早くバトンタッチして行きたいですね。

法人取得を目指しているようですが?

今回の新組織の大きな目標でもあります。今までそれぞれの組織で文部科学省に法人取得の相談を行ってきましたが、同様の活動をしている中で「一法人」しか認められないという指導を受けました。いつまでも任意の団体では無く、社会から認知された団体として責任としっかりとした活動が出来るように、社団法人として認可を取る為に条件整備を大至急整えています。その目的の中には多くの解決をしたい事が含まれています。そこで「ミュージカルスポーツ」と言う新たな活動分野の公的な理解を得るという事、体育館等の練習場所、騒音、料金の問題、申し込みの問題等、改善をしなくてはならないと思います。

出来れば生涯スポーツの一分野としての活動が認められればと思っています。自分達が苦労してきて愚痴だけで終るのは本当に申し訳ないので、時間がかかっても早く進めなくてはと思っています。又現に一部の地区では体育館等の使用も認め始めてもらった地区もあると聞いています。これが全国各地につながる為には、我々がきちんと理解を求めるような組織作りが大切だと思って活動をしているつもりです。

指導者の資格の統合に関しては。

これも今迄それぞれの組織の中で行ってきました。今回組織の統合と同様に法人取得の中で認定を受けた法人団体が認めた資格として各地域での社会教育活動の中で指導員としての認知と、将来必要講座時間等、必要条件をクリアーし、社会教育の技術指導員として確立して、マーチングンバンド、バトントワーリングの普及発展に大きな力になってほしいと思います。だからどちらが吸収したとかでは無く、この事もこれからの事を考えると良いシステムを次の人達にバトンタッチ出来る事を願っています。それと共に大事にしなくてはいけないのはメンバーの人達が行っている講習(略称:バッジテスト)、各地での普及促進、受講しやすくする事、指導者ライセンスへの連携等、将来の事を考えると大切にしていかなければならぬ事が数多くありますね。

技術者だったら先生が立ち会ってくれて、ある程度許される範囲があります。我々もきちんと研修を受けた社会的認知を持った指導員であるということが将来必要だと思います。

我々の時代はまかり通りましたが、これからの若い人達には、社会的認知が得られるようなものにしてあげて、それであとは頑張ってという事を我々は準備したいですね。バックアップ。それから頑張ってもらえれば、またそれをやれば絶対そういう社会的認知にしても、理解を得られるような土台造りになると思います。もちろん、私は好きだから、自分は自分でやっていますが、ただ、組織的な形で言うと、そのような考え方を役員の中でもっと浸透させていかなければならないと思います。この組織が良いんだというのではなく、総合的に考えて、良い組織がこれからの役員の若い人たちがバックアップして多分作っていってくれるでしょう!我々が40年近くやってきた事を。

マーチングに関わる人は、前を向いて歩いて欲しいです。「昔はこうだったから、昔を知っているのは我々だ」ではなく、将来若い人達たちがやるために何をすれば良いのか、又若い人達は前を向いて一生懸命やっていくのが良いと思います。もちろん、昔を知っている人がそれを懇々と言ったって、それよりも「前向いて若い子たちでやれ」って「こっちがバックアップするよ」って。そっちの方が若い子たちは嬉しいと思います。昔は昔。自分たちは一生懸命やってきたよ。今度は君たちが一生懸命やるんだよ。一生懸命やる苦労は、我々は知っているんだから、我々は、若い人が苦労しない組織づくりだけは出来ます。たまたまこういうポジションだけはやっておいてあげて、そこでバトンタッチしてやるぞ。若い人達は思い切ってやりな。と、考えます。

この活動がもっともっと広く知られ、
マーチングやバトンの魅力が伝わるように
頑張っていこうと思います。

ステージマーチングの全国大会が5回目を迎えますが。

この事業は第一回から旧指導者協会と旧連盟とが共催で行ってきた大会です。これはコンテストではなくフェスティバル形式で競争を煽り立てるような活動をしての普及はさせたくないです。又現状を考えるとマーチング活動の導入には、練習場所、騒音、少子化等条件が整い易く、フロアの全国大会とは違った意味で大事な活動としての位置付けを考えて始めたのだと思います。今後は日程等、一年間の活動の中でのシーズンを決め、コンテストだけではなく年間活動の一部として定着していってほしいと願っています。

あまり告知はしていないように見えますが。

そうですね、本部の告知としては同じなのですが、まだ支部の大会含め各地での大会が整備されていません。その関係で告知が弱くなっていると思います。各支部(都道府県含む)に於いては、年間忙しい中、序々ではありますが、普及に努めてくれています。もう数年でこの大会も定着していかなくてはと思っています。又新しい事業は、各地域の事情を考え無理せず、その地域の人達が「やろう」と思ってもらい始まる、又各大会が縄張り争い的になってはならないと思います。大事な事は、活動している団体が楽しく発表できる場を提供できるかどうかという事ではないでしょうか。

大学だけでもそういうステージドリルの発表をやっていて、その辺も告知が少ないようですが。

大学関係、高校もですが活動をしている団体は多いですね。日本は横のつながりはしっかりしていると思いますが、縦の繋がりが弱いと思います。そこに大きな問題点もあるのではないでしょうか。小・中・高・大・一般と縦の連携が普及には欠かせないのでは?特に日本ではスクールバンドが多い現在、より良い物を求め過ぎて、大切な物を見失う事が無いよう、無理せず活動をしてほしいと個人的には思います。そのような活動をする為にも縦の連携は重要ではないかと思います。

WGIのようなコンテストはいかがですか。

良いと思いますね。素晴らしいと思います。WGIのあの大会が活動して来た中でどのような考えや環境のもとで発展できたのかをしっかり理解した上で、日本での現状に合ったものをしっかり行なって行く事が大事だと思います。

各セクションが持つ演奏演技の楽しさ、面白さは日常のトレーニングの中に於いても重要です。現在全国大会にカラーガード部門の発表はされていますが、各地域で各セクションの発表が上手に一年間のスケジュールの中で発表できるイベントが出来るようになると良いですね。

少子化によるバンド部員確保はどうですか。

現実に少子化になってきた事は事実ですね。少子化対策といっても学校現場において大変難しいと感じています。私が言える事は情熱をもった指導者が何よりもまして重要だと言うことです。マーチングやバトンの持つ魅力(楽しさ)をメンバーにどう伝え、日常の活動を活性化させ、技術の向上を含めた喜びをどう生み出せるか、大事なのはメンバーが楽しい、もっと上手になりたい等、そのような気持ちを持てるようになってほしい、指導者の楽しさも生まれるのではないでしょうか。

今現場の学校では何が大事かは、新入部員の勧誘が大切なのですよ。いろいろな方法が工夫され、その他の運営面での知恵をしぼり頑張っている所が、部員確保されている学校が多い、このような情報交換の機会も大事ですね。又組織も大会等においても、小編成の団体が大編成との評価等してもマイナス面が出ないようにバックアップもしていかなければならないでしょう。少子化だから、それに合わせて発表の場を考えるのではなく、小編成の団体でも出られる大会に。だから、先生と一緒になって皆で頑張って下さい。

話は少し飛んでしまいますが、三年位前からテレビ等にバンド活動が取り上げられる機会が多くなってきました。今ちょうど、親の年代の中に吹奏楽の経験者が多くなってきて、他のスポーツ等と比べてもかなり多く、活動人口を含めると、予想もしていなかった世界だと知ったそうです。全国大会もNHKの衛星放送で2年連続で放映をしていただきました。今後も関係者だけの世界ではなく、一般の人達に、この活動の魅力をアピールし、社会的な認知を高めて行く事も大事な事と思っています。少しでも現場で活動している人達の悩みが少なくなり、この活動がもっともっと広く知られ、マーチングやバトンの魅力が伝わるように頑張っていこうと思います。

私は好きだからこの世界にいるし、恩返しとかではなく、この活動の一部として必要ならどのような事でも行ないたいと思います。

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