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2006 DCI World Championship

DCI 2006 ディビジョン Iファイナル

「“グリーンマシーン”が炸裂!キャビー7度目のタイトル獲得!」
by マイク・フェルラッゾ(DCWスタッフ)

2006年8月12日 – ウィスコンシン州マジソン・・・過去のDCIのショーにおいて“マシーン”をイメージしたものは多くあったが、キャバリアーズはそのコンセプトを非常に斬新かつ魅力あふれるアイデアで表現してみせた。ウィスコンシン大学の歴史あるキャンプランドールスタジアムに集まった20,701人の熱狂的なファンを前に、彼らのまさにロボットのごとき精密さが“グリーンマシーン”を7度目のタイトルへ導いたと言える。

キャバリアーズはベストブラス(ジム・オット賞)、ベストビジュアルパフォーマンス、ベストジェネラルイフェクト(ドン・アンジェリカ賞)を獲得。これらのキャプションで1位を勝ち取ったことで、昨年に引き続き観衆の人気ナンバーワンショーを引っさげて押し寄せたファントムレジメントの大波を、わずか0.35ポイント差で逃げ切った形だ。イリノイ州のこの二大勢力がファイナルで1位、2位を独占したのはDCI史上始めてのことだった。

ファントム・レジメントはベストパーカッション(フレッド・サンフォード賞)を獲得したが、これは彼らのファイナリストとしての33年の歴史上初めてのことで、今回パーカッションが好評であったブルーデビルスを驚かせるほどの好演だった。ブルーデビルスはベストカラーガード(ジョージ・ジンガリ賞)を獲得したものの、ファントムのこうした善戦により結果的に今シーズン最下位となる3位にまで押し下げられてしまった。

また、この日“ブルー”はとてもドラマティックな動きを見せた象徴的な色ともなった。“ブルーコーツ”は、前日のセミファイナルで6位だったがファイナルではキャデッツやサンタクララ・バンガードを一気に抜き、彼らにとって初となる4位にまで躍進した。一方“ブルーナイツ”も、全盛を誇った2000年以来久方ぶりに90点の壁を突破し、キャロライナ・クラウンをかわして7位を獲得したのだ。

マジソン・スカウツは地元の利を最大限に生かし、昨シーズンのホームタウン・コーであるボストン・クルセイダーズを抜いて9位に浮上した。地元の利とは、前日のエキシビションに登場したマジソン・スカウツ・アラムナイ・プロジェクト(同窓メンバーによるショー)がマラゲーニャを始めとする往年の名曲を大熱演したのを受けて、未だ熱狂覚めやらぬ関係者や地元ファンたちのことである。

こんな具合に今回はファイナルでいくつもの逆転劇が行われはしたが、ファイナリスト12団体自体は昨年と全く同じ顔ぶれであった。ファイナリストが前年と全く同じというのは、実は長いDCIの歴史においても2度しかない(あと1回は1987-1988)。

しかし今年は完全にキャバリアーズのための特別な年だったとも言える。彼らは今年優勝したことによって“コー・オブ・ザ・ディケード(この10年を象徴するコー)”としての地位を不動のものとしたからだ。彼らキャバリアーズは2000年以降でなんと5度も優勝し、残る二つの年も準優勝である。そして彼らは、DCI史上最もポピュラーな開催地であるこのキャンプランドールスタジアムで三度も優勝トロフィーを手にしたことになる。初優勝を飾った1992年、そして史上最高得点99.15を記録した2002年。そしてさらに、今年2006年は記念すべきそのマジソンでの最後の年となった可能性もある。来年のDCIファイナルはパサディナでの開催、そして2008年からは毎年インディアナポリスで開催することが予定されているからだ。

「いま彼らはあのショー(大記録を成し遂げた2002年のショー)が行われたあの同じ場所に立っている。だからこれは特別なことなんだ。」キャバリアーズのディレクター、ジェフ・フィドラー氏はそう語った。「どこで勝ってももちろん嬉しい。たとえこれがバッファローであってもどこであってもね。でも、(キャビーの地元に近い)マジソンにはより多くのファンが来られるんだ。しかも良いショーができたから最高の気分だよ!」

そうしたファンの中に、優勝セレモニーの間満足げにフィールドで葉巻に火をつけるひとりの男がいた。キャバリアーズの創設者、ダン・ワーレンである。「我々が初めて優勝したのがここなんだ。もうマジソンに戻れないと思うと本当に寂しいね。たぶん多くの人がそう感じていると思うよ。」とワーレン氏は感慨深げに語った。「彼らは私に“マシーン”を埋め込んだんだが(ワーレン氏は7月にペースメーカーを入れる手術を受けた)、彼らの熱演でペースメーカーも少し暴走気味だったよ(笑)」

1位 The Cavaliers キャバリアーズ
“マシーン”

The Cavaliers /photo by Ron Walloch

The Cavaliers /photo by Alan Winslow

NASCAR(アメリカで人気のストックカーレース)のピットクルーでもキャバリアーズのデザインチームより良い“マシーン”を創れる者はそういないだろう。パーカッションから生み出されるメタリックなサウンドは機械的なムードにあふれ、映画「トロン」のようなガードコスチュームもそのブルー/クローム調の色彩と共に“マシーン”のイメージを見事に表現している。そして音楽も半ば狂気的かつ非常にメカニカルで、そこから繰り広げられるパフォーマンスもまさにマシーンのごとく精密だ。

しかしこれは本当のマシーンではなく、マイケル・ゲインズ氏のビジュアルプログラムなのだ。そしてスタッフたちが緻密に作りあげたロボット的な振り付けも見事にこの“マシーン”の歯車となっている。ショーの中で二度使われているベルトコンベアを模した動きはとりわけ人気があるが、おそらくこれはこのショーそのものを定義づける動きなのだろう。もちろん、ショーの創造性自体は素晴らしく人間的なものであった。

「とても楽しかったよ。段階を追って一つ一つ組み立てていく必要があったけどね。まずは形をつくり、その上に一つ一つ積み上げなくてはならなかったんだ。」フィドラー氏はそう振り返る。「ショーにすべてを詰め込むのには6月の丸々ひと月かかったよ。そして独立記念日(7月4日)の頃になってやっといい感じになってきたんだ。だけどそれはただ我々がやってきた作業であって、実際にショーを演じてくれたのは才能ある経験豊富なメンバーたちだ。今年は特にベテラン勢が90人近くもいたことが大きいね。彼らは自分が何をすべきなのか、何を期待されているのかを分かっているし、それがどのくらい大変なことなのかもすべて知っているからね。」

シカゴ出身のドラムメジャー、トミー・アレンも今日でエイジアウト(年齢制限による引退)を迎えたそんなベテランの一人だ。「今夜は本当に特別なんだ。5年間のキャバリアーズ人生の頂点とも言えるのが今日なんだよ。これ以上の特別な日というのはあり得なかったと思う。」と彼は語ってくれた。「今日は本当に良いショーができたし、こんな良い状態で引退ができて最高の気分だよ。」
「最初にこのショーのタイトルを聞いたとき、これは絶対に自分たちがうまくやれるショーだと思ったよ。」彼は続けた。「だからこの結果は予想できたことなんだけどね、それにしても僕らは良くやったよ。」

2位 Phantom Regiment ファントム・レジメント
“ファウスト”

Phantom Regiment /photo by Harrt Heidelmark

3位 Bule Devils ブルー・デビルス
“ゴッドファーザー,”Part Blue

Bule Devils/photo by Harrt Heidelmark

Bule Devils/photo by Harrt Heidelmark

4位 Bluecoats ブルー・コーツ
“コネクサス”

Bluecoats/photo by Harrt Heidelmark

5位 The Cadets キャデッツ
“Volume 2:鏡の国のアリス”

The Cadets/photo by Patrick O’Toole

The Cadets/photo by Dan Scafidi

6位 Santa Clara Vanguard サンタ・クララ・バンガード
“モート・ペルペトゥオ”

Santa Clara Vanguard/photo by Francesca DeMello

Santa Clara Vanguard/photo by Harrt Heidelmark

7位 Blue Knights ブルー・ナイツ
“ダーク・ナイツ”

Blue Knights/photo by Francesca DeMello

8位 Carolina Crown キャロライナ・クラウン
“イン.トランス.イット”

Carolina Crown/photo by Dan Scafidi

Carolina Crown/photo by Dan Scafidi

9位 Madison Scouts マジソン・スカウツ
“プライマル・フォース”

Madison Scouts/photo by Harrt Heidelmark

Madison Scouts/photo byDan Scafidi

10位 Boston Crusaders ボストン・クルセイダーズ
“キャシードラルズ・オブ・ザ・マインド”

Boston Crusaders/photo by Pat Chagnon

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