日本大学中学校・高等学校 吹奏楽部
Drum Corps Fun vol.1(2006年4月27日発行)に掲載
日本大学高等学校は東急東横線日吉駅を下車、徒歩15分のところにある。吹奏楽部は創部60年の歴史と伝統を誇る部活で、過去には関東学院マーチングバンドとともに紅白歌合戦に出演した経歴を持つ。1970年代に一世を風靡した日本ビューグルバンドは日本大学高等学校と関東学院マーチングバンドのOBバンドである。またOBには故 坂本九氏ら有名人も多い。マーチングにこだわらず、吹奏楽との両立を目指し日々活動している日大高校吹奏楽部を取材した。
日本大学高等学校吹奏楽部は吹奏楽、マーチングを両立して活動しており、「情熱と真心」を校訓として部活と勉強の両立をもこなしている。卒業生の中にはDCIに留学しているメンバーも多く、マーチングには近年力を入れている。1999年までは男子校だったため部員が35名程度であったが、1999年より中学校が共学になり部員が急増。現在マーチングメンバーは約60名で活動している。大会には参加していないが、ディズニーランドパレード、横浜国際仮装行列(みなとまつり)などの行事にも積極的に参加している。毎年6月には定期演奏会を開いており、特にステージドリルは毎年好評を得ている。
もともとは吹奏楽部なのでマーチングの時は楽器を変えて演奏しているメンバーが多い。例えばトロンボーンがバリトン、ユーフォニアムはマーチングユーフォニアムといった感じだ。一番驚いたのがフルートパートのメンバーがマーチングスネアドラムを叩いていて、オーボエパートのメンバーがティンパニを叩いていたことだったが、これは普通にしているコンバートだとのこと。マーチングバンドではないため、こういったマーチングのための編成が必要になってくるのである。
この日の練習は合奏。曲は今年6月に開催される定期演奏会で演奏する「ディズニーミレニアムセレブレーション」。過去には2000年にキャデッツ、2004年には天理教愛町分教会吹奏楽団が演奏したもの。金管楽器のみの演奏では得られない独特の響きが印象的だ。ここでしっかりと曲を練習してドリルに入るのだという。近年ではドリルも激しさを増し、スピード感あふれる動きが多くなっていて動きも楽しみなところだ。
部活の特徴として「指導者がいない」ことがあげられる。もちろん顧問の先生はいるものの、音楽的に指導している先生やマーチングの指導をしている先生はいないのである。2005年度吹奏楽部ドラムメジャーの吉田彩乃さん(高2)に話を聞いてみた。
「技術的なこともドラムメジャーもすべて部員がやっています。曲選びから始まってドリルデザインなどもすべて部員がやっているため、日大らしいショーができるんじゃないかと思います。」
部員たちの力ですべてを作り上げる日大サウンドだが、サポートするのはOBの先輩達だという。マーチングの一般団体に所属している先輩が技術的なサポートをしたり、時には楽譜を書いたりしている。またカラーガードについてはボランティアで教えに来ていただいているという。またマーチングバンドと違って吹奏楽もこなすのはかなり忙しく大変だと感じたが、そのへんを聞いてみると・・・
「試験前にも練習が入るほど忙しく活動しています。他の運動部よりも多分忙しいですよ!でも部員全員が決して妥協することなく頑張っています。これから先の目標は5月の横浜国際仮装行列と6月の定期演奏会を成功させることです。」
ここは苦労した、というところを聞いてみると・・
「学年が違う人がたくさんいて、考え方の相違があるためまとめるのが大変でした。練習方法を組むのも一苦労でした。基本的には学生指揮者とドラムメジャーが決めるんですが、このバランスは取れていたので練習計画で悩んだことはありません」。
また、ドリルを一人で作成している吉田さんだが、ドリルを書くときのポイントをきいてみると・・・
「起承転結をイメージしています。曲のイメージを大事にしてドリルを書くことを心がけています。DCIの映像を参考にしながら、あとは自分なりに曲を聞いた自分のイメージをそのままドリルにしています」。
最後に吉田さんの想いを語ってもらった。
「自分たちで作り上げたショーを演奏会で沢山の人たちに演奏を聞いて、ドリルを見ていただきたいです。演奏会を成功させたときの感動は何にも変えられません。また部員同士は長い人では6年一緒にいますからとても仲良しです!部員全員で団結していいショーを作り、一人でも多くのお客さんに感動していただけるために日々がんばっています」。
インタビュー後に合奏を最後まで見せていただいて練習は終了となった。60年の歴史と伝統を誇る日本大学高等学校吹奏楽部は部員全員が主役、ショーも部員が作り上げる「手作りマーチング」なのである。今後の発展と活躍が大いに期待される学校である。