横浜市立中田小学校 マーチングバンド
Drum Corps Fun vol.4(2009年4月18日発行)に掲載
見る人が元気になるようなパワフルな演奏・演技が持ち味の横浜市立中田小学校マーチングバンド。その魅力を探るべく、顧問の花本敏夫先生にお話しをお伺いしました。
Qバンドの歴史を教えてください。
最初は地域のバンドとしてスタートしたようです。しばらく経って、もっと活動が活性化するようにと活動の拠点を地域から学校へと移行したという少し変わったケースかもしれませんね。当初はトランペット鼓隊のような感じでの活動だったみたいですが、平成3年からマーチングバンドとして取り組み、今年は60名の部員で全国大会出場。4年連続で金賞受賞が出来ました。
Q年間を通してどのような活動をしていますか?
朝練習は火曜日から金曜日の週4日間で、月曜日は登校班で登校できるように休みにしています。あとは土曜日の一日練習と、大会前になると平日の放課後練習ですね。本番は大会以外にも、地域のお祭りや野球大会、合同演奏会などに参加しています。3月末には、学校の敷地内も使用して開催される「さくらまつり」という地域のイベントにも出演しています。、このさくらまつりが6年生最後の出演イベントになります。数年前、イベントも終わり片づけをしているときに6年生も最後だからこれまでにやってきた曲を吹いてみようかって感じでオモシロおかしく吹いていたら、保護者やお祭りに来ていた人たちが集まってきたんです。そして、どうせならみんなの前でやりませんか?っていう話になって、翌年からは体育館にて定期演奏会としてやるようになって今年で3年目になります。おかげさまで、当日は地域の方がたくさん見に来てくださってます。
Qバンドとして大事にしていることはありますか?
一言で表現するなら「気合い・情熱・エネルギッシュ」という表現ですかね。きちっと音楽としてまとまっていくことも大事ですけれど、自分達の表現したいことを見た人が、「おもろいな」って受け取ってくれたり、元気になってくれたりしたらいいと思っています。おじいちゃん・おばあちゃんが小学生のあの子達がアグレッシブに演奏しているのを見て聞くだけで、○○してくれたりする。そんな風に人の心を打つっていうことにこだわりたいですね。オリジナルとして突き抜けていきたいとは思っています。
自分は大学のときにマーチングを初めて見ましたが、それまで音楽経験もなかった素人だったから「動いて演奏している」のがとても衝撃的で、これはすごいなぁと思ってやり始めました。だから、素人目線からマーチングに「おぉ!」みたいになる気持ちが分かるし、その印象をマーチングには残していきたいと思いますね。
Q活動の中での問題点を教えてください。
どんな組織でもそうだとは思っていますが、60人もいたら気持ちの温度差っていうのがどうしても出てきます。その気持ちのギャップをお互いに埋め合って、一緒に頑張ろうという気持ちを強めていくメンタルな部分が一番大変かなと思います。
あとは、部員募集ですよね。練習でせっかくの休みを取られるし、上手くなるためにはしんどいこともあると思うけど、苦しかったり大変な思いをした先にある輝きや喜びっていうのを感じられるはずです。でも、ラクにおいしいことが出来るのならやるけどみたいな気質が最近多いのが気になります。
やる前にはどうしても大変なことばかりが見えるけど、実際にやり始めてハマった本人達は大変だという以上にその先にあるものが分かっているので、途中の過程は大変だけど、その先に見えるものに到達するために頑張れるっていうのがあると思う。みんながそんな考えで入り込めれば上手くはいくけど、そうならないと難しいし、そうならないこともありますね。
Q大会会場でも学校・保護者の協力が印象的ですが?
保護者は本当に協力的で感謝しています。毎年、何人かが役員をしてくれて他の保護者とのパイプ役になって色んな連絡事項を全部取りまとめてくれたり、大会やイベントの際には引率や楽器の積み下ろしをやってくれます。影の力っていうのは本当に大事ですよね。指導者なんかよりよっぽどクローズアップされるといいと思います。間違いなく一人では無理だし、今の人達がいなくなったら絶対に活動が出来なくなると思います。
そして、学校もすごく応援してくれてます。大会なども見に来てくれるのはうれしいですね。生活の中でも、マーチングで上手くいかなくて気持ちが沈んでいるといった時には、話を聞いてくれたり、アドバイスをして励ましてくれます。
Q子供たちに感じてもらいたいことは?
自分自身も感じなくてはいけないことですが、一番は「感謝」ですね。楽器が自分の前にあるのは誰のおかげか?舞台に立てるのは誰のおかげか?感謝の気持ちをどれだけ感じることが出来るかが自分の力につながると思うし、マーチングに限らず他の分野でも大事なことですよね。感謝の気持ちを持っていれば味方は必ず出てくるはずです。そういうところは凄く大事だと思っています。
Qバンドとしての夢は?
不景気な時はどうしても文化的なことは後回しになる傾向がありますよね。でも不景気のときこそ潤いや活力を与えるのが文化的な部分であり、その中でも音楽の役割はとても大きく力を発揮ができるはずです。なので、まずは「泉区に活力を!」、そして横浜・神奈川・日本・世界へと広げる意識をもって活動していきたいですね。以前、来ていただいた講師にも「君らが一生懸命やったら、元気になる人が必ずいるはず」と言われたこともあり、子供達は「世界の平和を守るために戦う地球防衛軍」として頑張ってくれています。
また、マーチング活動の中で意識していることをいつもの生活でも出来るようになることも大切にしていきたいです。これは大会に出て結果が出たとか出ないとかよりも大事なこと。活動をしている子供達が、「学校の中でこんなふうに頑張れるようになった」とか、「マーチングやってるから出来るようになった」とか言うようになれれば一番良いし、マーチングという活動が学校という教育の場にある意味があると思います。